(ひな。/蒼竜社プラザCOMIX・全1巻)
この作品はTAKAJAさんのご紹介をいただきました。
ひな。さんの短編集。とある街を舞台に、前作の脇役が次作の主人公になるかたちの連作スタイルで少年少女の出会いを描いた表題作をはじめ、8ページサイズのショートエピソード22作を集めた初恋短編集。
満足!
そして、満腹。この言葉に尽きますね。
ショートエピソードがぎちっと詰められた作品集なんですが、そのどれもがふわっとした暖かさと柔らかさに包まれた、雰囲気のあるボーイ・ミーツ・ガール系のストーリー。びしっと私の好みにはまった感じで、楽しめました。
さらに魅力はぷにぷにっとしたその絵柄。と〜にかくどのヒロインも、かぁわいいっ!という感じで、抱きしめて頬擦りしたくなるような女のコばかり。私好みのショートカットの女のコもいっぱいで、それだけでも「買った甲斐あった!」てなもんでした。
とにかくお買い得。精神疲労時のらぶらぶ補給に欠かせないスイートコミックです。
22作もあると、作品紹介も大変ですね。とりあえず好みの作品をピックアップ。
連作「3丁目の回覧板」では年上の女性とつきあってる男のコの物語り、「年の差なんての11月」がいい感じ。年上の女性と付き合ったことがある人なら、な〜んとなくシンクロできるのでは。主人公の男のコもいかにも弟系の美少年で、なかなかいー感じですね。
もひとつ恋人に近づくために背伸びする女のコを描いた「せっかく卒業シーズンだし。の3月」は、「わかるなー」って感じの好エピソード。意外性はないですが、あこがれがエンジンになる高校生の恋愛を上手く描いてると思います。
シリーズ外では「お姫様セレナーデ」に一票。いや、ヒロインの広川さんが激烈にかわいくていーんですが、エピソードのもってきかたも○。表情でリズムを作る感じで、ほんわ〜としたホワイトデーの雰囲気が、心に入ってきます。
とどめは「愛美ちゃんの告白大計画!」女のコが(いや、男のコでもそーですが)告白するというのは一大イベントなわけですが、そこをコミカルにかつ絶妙な感じで描いてくれてグッド。愛美ちゃんの真剣さがほほえましくて、とても気に入ってます。
かわいい女のコ目白押しの短編集ですが、いちいち推しててもきりがないので、ここは一発、黒髪ショートカットの女のコ激推大会〜!
まずトップバッターは「鏡の中の9月」の佐藤実南ちゃん。はい、私はこのコでこの本にハマりました。ちょっと強気で不安定な感じが愛らしくていいですね。
「せっかく卒業シーズンだし。の3月」の千夜ちゃんは自分を名前で呼ぶような幼なっぽさが魅力かな。このコもちょっと不安定な感じがいいですね。がんばれよ、と声をかけて背中を押したくなるような女のコです。
「お姫様セレナーデ」の広川さん。どことなくボーイッシュで照れ屋な感じが魅力ですね。長編でも主役を張れそうな、いいキャラクターだと思います。びぜんやイチ推し。
「占い信じますか?」の林山さんはストレートな言動が魅力的。クラスにひとりはいそうな、気軽に冗談かましあえて、だけど心のどこかで何かを期待しちゃいたくなるような、そんな魅力を秘めた女のコです
トリは「ちょっとだけI LOVE YOU」のさっちゃん。世話焼きで気さくな幼なじみのお姉さん。んー、このシチュエーションはぐっと来るものがありますね。あこがれだけじゃなにかが胸の中に芽生えてきそうな、そんな魅力のある女性です。
22作、どれも超短編で、ハッピーエンドの恋愛ものが中心。テンション的にはしっとり風味のほのぼの系で、まあ、金太郎飴みたいな短編集です。
それだけに、ぷに絵系のほのぼのラブストーリーが好きな人ならずぶずぶ行くでしょうが、好みから外れる人は途中で飽きてしまうのでは?という気がします。実際は、結構目先を変えたエピソードもあって読み込めますが、やはり少女マンガ系のラブストーリーが好きな人にターゲットは絞られてしまいますね。
2001.2