あくるちゃんブレイク

(愁☆一樹・ブロッコリー・中井まれかつ/角川書店角川コミックスドラゴンJr.・全2巻)

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Story

幼なじみの海原心斗の影響でTCG「アクエリアンエイジ」を手にした中学生・日向あくると、トップレベルのマインドブレイカー・天堂英樹、医者を目指しカードを置いた同級生・鳳つばさら、多彩なキャラクターの出会い、ふれあいを描いたティーンエイジ・グラフィティ。

Impression

人気TCG「アクエリアンエイジ」を題材にしたコミックです。
TCGがテーマではありますが、カードが描く世界をストーリー化したものでも、カードバトルをテーマにしたものでもなく、カードゲームにまつわる少年少女の交流を描く、少女マンガ系のボーイ・ミーツ・ガール・ストーリーになっています。
カードが各キャラクターを巧くつなぐリンクになってる感じで、ちょっとお互いが気になるけど、まだ恋愛には届かない、そんなローティーンの世界を絵柄にふさわしい、ほんわか優しいタッチで見せてくれるんですよね。ハイティーン以降と違って、男のコ・女のコをあまり意識せず、お互いが自然にふれあえる輝かしい季節を描いた感じで、そのへんのいきいきとした感じが実に鮮やか。
同TCGのイラストレーターとしてもおなじみ愁☆一樹さんのふにかわいい絵柄もばっちり効いていて、意外(失礼!)に満足感の高い一冊なのです。

Akuru Hinata

ヘアバンドとなんだかあっちこっち跳ねまくった髪がチャームポイントな、ちみっちゃ感抜群の女のコです。
明朗快活な明るい女のコなんだけど、どこか一歩引いたような、おしとやかで引っ込み思案なところもある。そのあたりが絶妙に効いていて、あくるちゃんを見てると「い〜な〜」ってほわんとした気持ちになってしまうんですよね。うーん、男にとって理想の女の子の一典型、なのかも。
明確に「恋心」って意識はしてないんだけど、幼なじみの心斗をだいじに思っていて、心斗が嬉しいとあくるちゃんもうれしいって気持ちが表にでてきて、その時の柔らかい笑顔がすっごく印象的なんですよね。誰にも譲りたくない、自分だけのものにしたい、そんな大切な笑顔。
思春期まっ最中の13歳らしい表情が愛くるしいヒロインですね。

Charactor

なんといってもアクエリのトッププレイヤー、天使を操る最強のイレイザー、天堂英樹(えーじゅ)ちゃんでしょう。このコの場合、ショートカットがオトナっぽく見えますよねー。
ちょっと吊り目がちな目もと、たえず口許に浮かべる余裕の笑み、心斗たちをあしらう余裕の物腰、そのへんが心憎いんですが、無邪気な笑顔とぴんと伸びた睫毛がかわいくて、むしろそのへんの要素も英樹ちゃんのかわいらしさを補強するパーツになってるんですよねー。
まさに最強、最高。彼女の笑顔にかかれば、1ターンでダメージ10枚ですね。
関西弁を操るおせっかい屋さん、月城エリミちゃんもなかなか来ます。ぱきぱきした性格と関西弁がチャームポイント。あくるちゃんをぎゅううーっとしちゃうとこなんかも、ビジュアル的においしいポイントですね。
さて、「3:31」としてはこのコを忘れるわけにはいきません、黒髪+リボンの強力タッグで魅せる星宮杏ちゃん。趣味がお菓子作り、特技が和裁、好きな勢力が阿羅耶識、語尾は「−ですわ」という強力和風フォーメーションで読み手の心をかっさらってしまいます。
もひとり黒髪キャラということで(笑)、ヒーローの海原心斗くん。勉強もアクエリもなかなか出来て、性格は明るくて強気、ルックスもなかなか。まさに少女マンガのヒーローって感じですが、それでいて厭味な感じがしない好漢なんですよねー。あくるちゃんの彼氏になるのも、彼ならいーかなー、ってカンジ。
だけど、あくるちゃんを泣かせたら、読者が承知しないぞっ!

Guide

「アクエリ」を知らなくても問題なし。マニアックな表現は必要最低限に抑えられているので、雰囲気で読めてしまうと思います。
ただし、ストーリーに個性が乏しく、結局「アクエリ」がらみのシチュエーションと絵柄だけが売り物になってしまうので、そのへんが好みに合わないという人は、やっぱりアウトでしょうね。

2002.3