(高野うい/一迅社4コマKINGSぱれっとコミックス・全4巻)
大谷地満の所属するアニメ研究会は、部員わずか2名という小所帯ゆえに廃部の危機に晒される。
部長の命を受け、部員ゲットに動いた満は首尾よく双子の姉妹を部室につれてくることに成功する。
しかし姉妹と思った一方は何と女装した男のコ。もうひとりは入部にノリ気じゃなく……
オタク度120%のアップテンポな学園四コマ。
ドキッ! 美少女だらけのアニメ研究会!
そんなドリーミーなシチュエーションで繰り広げられる学園四コマ、それが「あにけん」です。
Kanonの同人誌で活躍されてた当時から、高野さんの四コマがお気に入りだった私にとっては、まさに待望の作品。そして期待通りの楽しさでした♪
いかにも部長キャラないつき部長、女装少年の一葉ちゃん、ツンデレ隠れ腐女子・双葉ちゃん、無口系ツインテール・志乃ちゃんと、あらゆるニーズに対応するキャラクターバランスがナイス。
そこにアニメ好き、マンガ好きなら「分かる〜」と膝を打ちたくなるようなネタが揃っていて、思わずにやにや笑ってしまうんですよね〜。
美少女だらけのアニ研なんてあるわけないじゃん、と冷静なツッコミを入れる御仁もいるかもしれませんが、これはむしろあるわけないから、ドリームだからにやにや出来て、萌え萌え出来る作品。
この面白さが分かった瞬間、あなたもしっかりアニ研のメンバーとして、ゆるゆるなムードの中にどっぷりつかっちゃってるはずです。
「ツーンデレ! ツーンデレ! ツーンデレ! ツーンデレ!」
と、満場の観衆が雄叫びを上げそうな典型的ツンデレ娘。
不機嫌顔がデフォルト、クールなところが魅力のツリ目っ娘、それが白石双葉ちゃんです。
いつも眉間に皺を寄せているところが妙にかわいいですね。
吹っ切れたキャラが見事に揃ったこの四コマの中では貴重な良心。
しかしクールを装い、オタクであることをカモフラージュしようとしていながら、会長にいいように手玉にとられ、志乃ちゃんにはいいように振り回され、一葉ちゃんにはからかわれて、結局本音がだだもれになってるあたりが実にかわいいんですよね〜。
大谷地くんとつかず離れずの関係も気になってしまいます。
双葉ちゃんの双子の兄が白石一葉くん……なんですが。
もちろん双葉ちゃんと同じ顔、女子の制服で学校にやって来て、髪にはリボンという女装少年なのです。
双葉ちゃんとは対照的に、あっけらかんとした笑顔がトレードマーク。なにげにこの作品で一番の「華」になってるキャラだったりします。
ロングヘアーにナイスバディ、ツリ眼にメガネという、いかにも押しの強そうなルックスを持ってるのが南郷いつきちゃん。もう、見た目通りの押しの強さでアニ研を引っ張る部長さんです。
時に常識人のようにツッコミを入れますが、やはり発想はオタクそのものの暴走腐女子。出番はやや少なめですが、出てくる時はしっかり存在感を発揮してくれます。
途中から登場は宮ノ沢志乃ちゃん。アニ研に現れるやいなや、「属性は一人二つまで!!」と叫んだ女のコですが、ロリっ娘、寡黙、ツインテールと、彼女自身は多重属性の持ち主。マニア向け四コマらしくターゲットを絞ったキャラクターに、見事にやられてしまいます。
影の薄い主人公・大谷地満くんは置いといて、その姉が大谷地睦さん。
この作品には貴重な黒髪成分を補給してくれるキャラクターです。ショートカットの強気なお姉さんですが、この作品の他のキャラと同様、彼女もまた腐女子。
彼女に時代がついてくることはあるのか。そのへんも注目です。
典型的な萌え系四コマ作品。ジャケットを見て気に入ったなら、買っても問題ないでしょう。
ただ、実在のアニメ作品を元ネタにしたネタが散見され、そちら方面の知識がある人の方がより楽しめそうです。
姉妹作として大谷地睦さんをヒロインに据えた「あねけん」もありますので、気に入った方はそちらもどうぞ。
2008.7
2017.10