(あゆみゆい・小林深雪/講談社コミックスなかよし・全7巻)
野々原りんごはアイドルを夢見る中学生。見事オーディションに合格して、大ファンのアイドル・石坂真人と一緒にお料理番組「デリシャス・タイム」のキャスターを務めることになったが、実はりんご、料理が大の苦手。そこで隣に住む料理上手の筒井一臣が登場して・・・。読みながらお菓子作りがうまくなる、トラブルトライアングル・コメディー。
もう、りんごちゃんである。なんてったってりんごちゃんである。もう最高。「デリシャス!」っていうときの表情ときたら、もう、あなた、こりゃたまりまへんがなぁー、と正体不明の関西弁が出てしまうくらい愛くるしいのである。ああ、たまらん。
で、もう一人気になるのが一臣。いやあ、男のコの純さ、バカさ、そして哀しさがあふれててうれしいのだ。少女マンガで主人公の相手役になる男のコって、まぁ、それがティーンの理想なのだろうけど、かっこよくて、出来がよくて、でもキレもコクもなくてというパターンが多いのだけど、一臣は違う。がんばれよっ、と同性のヨッパライも握り拳作っちゃえるのだ。
男のコって、好きなコの笑顔見るためならなんでも出来るっていう純粋さ、大切だよね。
ヨッパライは中学出るとき、北上川にそんなもん捨てちゃったけどさ。
MENU1 お料理上手なアイドル誕生!?(コミックス1巻収録)
これぞ雑誌連載第1回の見本!みたいな第1話。「デリシャス!」のエキスがしっかり詰まってて、これからどんな話が展開されるのかよくわかる。もちろんりんごちゃんの笑顔もターボ全開なのだ。
MENU8 アリスのティーパーティーで料理バトル!(コミックス2巻収録)
「えー、香川さん、ヨッパライ宅の台所はどんな感じでしょう」「いやあ、惨憺たる有様ですね」「具体的にはどんな感じでしょうか」「昼にヨッパライが作ったパスタの鍋や中華鍋が散乱し、さらに夕食にヨメさんが作ったグラタンの皿や、ナベカマ類が所狭しとあふれかえっています」「今後の見通しはどうでしょうか」「すでにヨッパライは泥酔状態、ヨメさんは爆睡中で共に片づけ不能と思われます」「どうですか、解説の鍛冶舎さん」「うーん。りんごちゃんを見習って欲しいですね」・・・反省してます。
MENU20 白雪姫のりんご(コミックス4巻収録)
おおお、ついにラブコメの黄金パターンという感じで、いいですね。黄金パターンこそ、作者ごとの味わいが出てまたいいのだ。それにしても三千代ちゃんちょっとかわいそうかな。一臣もかな。でも、それが青春だよね。(青春という言葉をそろそろ照れもなしに使える年に近づきつつある。老境というやつか?)
一応ストーリーなんだけど、一応一話一話で完結もする趣向なので、ヨッパライの書評が信じられん、という人は「なかよし」誌から読んでみてもいいかも。気に入ったらコミックスを買いましょう。お料理コミックなので、コミックスの巻末にはレシピが載ってますが、ワタシは辛党なので、作ってみた試しはありません。でも料理好きなら、ここも読んでると結構楽しいんだな。りんご、一臣、三千代と感情移入しやすい立場のキャラクターが揃っているんで、読んだ人なりにハマれると思います。おすすめできる小品。
1998.11