(科戸コウ/芳文社まんがタイムKRコミックス・1巻〜)
声優になることを夢見る少女・乙雛きなりはいくつかの養成所のオーディションを受けるもすべて不合格となり、その夢を絶たれる。
しかし声優事務所「鶴舞カンパニー」にスタッフとして採用されることになり、声優のたまごたちの成長をフォローする仕事をすることになる。
だが、受け持つことになった3人はいきなり退所願を持ってきた百千月和奏を筆頭に個性派……というかクセ者揃い。それでもきなりは和奏たちを「声優界の一番星」にすべく、慣れない仕事に全力で取り組む。
「まんがタイムきらら」の定番ジャンルのひとつが、萌え系エンタメお仕事もの。
というわけで、今回は美少女だらけの声優事務所を舞台にした新作萌え系四コマ「フルボイス!」を大紹介です。
ヒロインは声優事務所の特待生を目指しながらかなわず、声優事務所のマネージャー職として声優さんのお手伝いにまわることになった女のコ。
ともすると重くなりそうなシチュエーションを、このレーベルらしくあくまでかわいらしくあくまで軽やかに描いてくれているのが、この作品の美点ですね〜。声優を目指す3人の女のコと、同世代のマネージャーが一歩一歩夢に近づくさまがあくまでかわいく賑々しく繰り広げられて、思わず頬が緩んでしまうのです。
ただかわいいだけじゃなく、起承転結がしっかりしていてラストにスパッとツッコミが入ってしっかり笑わせてくれるのもうれしいところ。しかも起承転結の転結でどう転がってくるか、どう落としてくるかが読めなくて、なかなかニクいんですよね〜、そこが。
きなりちゃんを支える先輩方を含めて、多彩なキャラクターで繰り広げられる群像劇。
読むとほっこりした気持ちになれて、くすりと笑えて、そして最後にはちょっとだけ元気をもらえる、常備しておきたい一冊です。
本編のヒロインが乙雛きなりちゃん。
けして裕福とは言えない団地育ちで、声優になる夢を抱きながらそれを果たすことが出来なかった18歳の女のコ。……と書くと薄幸の美少女、苦労人、といったイメージが湧きますが、それだけでは括れないのがきなりちゃんの魅力。
声優にはなれなかったけれども事務所でマネージャーとして同い年の声優のたまごをサポートする、という微妙な立場になってもそれを受け入れるドライな強かさと、苦労と葛藤を微塵もうかがわせない天然由来の明るさを兼ね備えた、なんとも存在感のあるヒロインなのです。
そんな多面性があるから、時にヒロイン、時にコメディリリーフ、時にマスコット的存在、時にボケ役と、さまざまな役割でマジメっ娘揃いの作品世界を気持ちよくかきまわし、ストーリーを楽しく引っ張って行ってくれて、そこが気持ちいいんですよね〜。
ヒロイン、というひとことでは済ませられない七色の表情を持つメインキャスト。応援しつつも愛でたくなる、なんとも気になる主人公なのです。
よりどりみどり、サブと呼ぶには惜しいヒロインたちが勢ぞろいなのがこの作品の美点。それでは紹介してまいりましょー!
本編のもうひとりのヒロインと言えるのが、ちいさい身体に長い黒髪、そしてスタジャンという若干地味目なルックスの百千月和奏ちゃん。ちょっと引っ込み思案で表情薄め、黒髪美少女淡麗系といった感じの女のコですね〜。素敵な声の持ち主で鶴舞カンパニーの特待生に選ばれた素質の持ち主でありながら、実は声優の仕事には興味がなくて、退所届を出そうとしていたという変わり種。そんな彼女がきなりちゃんと二人三脚で(だいぶ足並みそろってないよーな気もしますが)声優という世界に乗り込んでいくのが本作品の見どころなのです。
同じく鶴舞カンパニーの特待生、ポニーテールに凛々しい表情のスポーティ少女が一宮姫芽ちゃん。声優というお仕事に向けてストイックで、特待生+きなりちゃんのメンバーの中では一番の常識人。なので声優というお仕事のナヴィゲーター役であると同時に貴重なツッコミ役で、つまるところ当作品にとっていちばん欠かせない女のコ。美形男子キャラが似合いそうなタイプでありながらかわいいモノには目がない、というところがまたいい個性になってますね〜。
もうひとりの鶴舞カンパニー特待生が阿万里十彩ちゃん。眉毛がトレードマークの豆柴系な女のコです。のんびりとした癒し系、マイペースな天然系のように見えて、時にドライにツッコミを入れてくる自由自在系な女のコ。丁寧語の控えめキャラのように見えてなんのなんの、存在感では負けてません。
2026.1