(勇人/スクウェア・エニックス ヤングガンガンコミックス・全11巻)
杏ちゃんははなまる元気な幼稚園児。大人ぶりたいお年頃のおませさんだ。
いつも大好きな土田先生の気を引こうとアタックを続けるが、空回りしたり無視されたり。
それでも、仲良しの小梅ちゃんに励まされ、柊ちゃんにいじられて、めげずにアタックするのだった。
恋愛要素とキンダーガーデンコメディがシンクロした、ほのぼの元気なラブコメディ。
幼稚園児が好きで何が悪い!
と開き直って大紹介、ほのぼの感がうれしいろりろりキンダーガーデンコメディです。
幼稚園児を舞台にしたまったり系の作品で、そりゃもうろり萌え心が常時満タンなびぜんやとしましては、杏ちゃんをみているだけで、小梅ちゃんを見ているだけで、柊ちゃんを見ているだけで心がなごなご萌え萌えしてしまえるのですが、この作品の楽しさをさらに加速してくれるのが(なんと!)恋愛要素。
土田先生にぞっこんな杏ちゃんの空回りっぷりがいじらしくもユーモラスで、思わずくすりと笑ってしまうんですよね〜。
山本先生にぞっこんな土田先生の空回りっぷりもせつなくて笑えたりするんですが。
恋に恋する幼稚園児、杏ちゃんが本編のヒロイン。
年中さんではありますが、心はしっかりオトメしてまして、土田先生が大好きで、振り向いてほしくて、いろいろ努力するんですが所詮は幼児の浅知恵。軽くいなされ無視されてしまう、そんな幼くて浅はかな一途さがなんともいじらしくてかわいいですね〜。
身の程知らずにも、巨乳美人な山本先生をライバル視して玉砕したり、柊ちゃんのいいおもちゃになったり、土田先生の足手まといになったりして、時には挫けそうになっても、すぐに立ち直ってまた全力で土田先生にアタック! そんな子供らしいタフさも魅力です。
目が離せなくて、手が焼ける、だけどたまらなくかわいい、いとおしい、そんな幼児期の子供らしさがめいっぱいに詰まった女のコ。
そして女のコはどんなに小さくったって乙女心を持ってるんだぞ! ということを認識させられる女のコです。
黒髪ボブカット幼女萌え〜!
というわけで、私の一番おきには小梅ちゃん。
語弊を恐れずに言えば、いかにも女のコらしい女のコ、という感じの、シャイで純粋な女のコですね。ほにゃっとした優しい笑顔、内気さ全開の照れ顔、ピュアな泣き顔、どんな表情にも思いっきり癒されます。
杏ちゃんも柊ちゃんも中途半端にオトナっぽいだけに、そのピュアさが新鮮だったりしますね。
この作品のエンジンになるのが無表情園児・柊ちゃん。
杏ちゃんにグラビアアイドルばりのアピールを要求したり、大人の笑顔の練習を課したり、土田先生との園内デートをコーディネートしたり。
「キミ、ほんとに幼稚園児?」と聞きたくなるような知識と策謀で杏ちゃんを操り、物語を混迷の方向へと引きずって行きます。
ある意味、作品のカラーを決定づけるダークエンジンですね。
ろり系らしいろり系作品であり、ラブコメらしいラブコメで、見た目以上の密度がありますね。
幼稚園というシチュを抵抗なく受け入れられる方なら、一読の価値ありだと思いますが、カバーを見て引いちゃうタイプの人は間違いなくアウトでしょうね。
2007.9