(あらきかなお/芳文社まんがタイムKRコミックス・全3巻)
ちーちゃんこと野村ちづ子は、魔法の国から人間の世界にやって来た女のコ。
彼女の人間界でのいちばんの友達はマジシャンを目指す田見屋ユリネちゃん。
しかし、気がつくとちーちゃんはユリネちゃんに2階から落とされそうになったり、バニーのかっこをさせられたり、緊縛されたり、いいようにいじられてる毎日。
だけど天然なちーちゃんは、気づくと流されて、それを受け入れてしまうのでした。
「魔法のじゅもん」というタイトルなのに。
ヒロインは魔女っ子だというのに。
実は魔法がほとんど出て来ない四コマ、それが「魔法のじゅもん」です。
ファンタジー要素は絶無に近く、いじめっ子・ユリネちゃんのキレのいい傍若無人っぷりと、ド天然魔法少女・ちーちゃんのMっぷり、そして無力なツッコミ役・のんちゃんの無視されっぷりを楽しむ、イキのいい作品。
S→ユリネちゃん、M→ちーちゃんというシンプルな主従関係がいっそ潔く、軽快なかけあいに「んなわけねーだろー」と脳内ツッコミしつつ、笑ってしまいますね。
さらに、あらきかなおさんのぽっちゃりかわいい絵柄と、ほんのり効いたちょっとH要素も見逃せないポイントで、シンプルなのに、読めば読むほど萌え笑いしちゃえる作品です。
本編のヒロインが、魔法の国から人間界へ、新しい刺激を受けにやって来た女のコ、ちーちゃん。
もちろん魔法少女なんですが、腰まで伸びた髪に両おさげという清純派のルックス、過剰なまでに天然ドジな言動、魔法はほとんど使わず、何より名前が野村ちづ子。魔法少女らしさがかけらほども見えない、そんな女のコです。
親友のユリネちゃんにベタ惚れで、ユリネちゃんにならどんな格好を強要されても、どんなシチュエーションに置かれても、ユリネちゃんの愛として受け取ってしまうM風味の天然少女。
唖然としてしまうほどのアホっぷりがいっそかわいく思えてしまう、不思議な魅力を持った愛玩少女です。
もしかしてちーちゃんより目立ってるんじゃないの?
というのは、ヘアバンドがトレードマークの黒髪少女・ユリネちゃん。
いじわるで、いじめっこで、いたずらっこ。
とってもダークな少女なんですが、あっけらかんとちーちゃんを陥れ、きっぱりとのんちゃんをいじめる、陽性のキャラクター。
なので、なんだか憎めないんですよね〜。
ちーちゃんの自称ライバルがのんちゃん。本名は大沢のぶ子ちゃんで……なんでこのマンガの魔女っ子の名前は純和風(それも昭和20年代テイスト)なのかなぁ。
ツインテールがトレードマークのつるぺたロリっ娘。ちーちゃんの幼なじみで、自称ライバルなんですが、そのロリっぷりゆえにひたすら子供扱いされ、軽くあしらわれ、時に無視され……要するにやっぱりユリネちゃんのオモチャ。
それでもこの作品では唯一のツッコミ役で、通じないと分かっててもちーちゃんやユリネちゃんにツッコミをいれる姿には哀愁に似た愛しさを感じてしまいますね。
こんなとこでレビュー読んでるくらいなら買って読め、といいたくなるような、ジャケットのイメージそのままの典型的かわいい系四コマですね。
ただ、タイトル通りのファンタジー要素を期待すると肩すかしにあいますのでご注意を。
2007.6