(水谷悠珠/一賽舎ゼロサムコミックス・全6巻)
魔道士になるために地方から出て来た少女・メルリーウィはいきなり黒髪の男・ヴァイスに街中を追いかけ回される。
あえなくヴァイスにつかまったメルリーウィが連れて行かれたのはなんとお城。
彼らはメルリーウィに、失踪した大魔道士・シルスファーンの身代わりになってほしいと懇願されるが・・・
萌え〜〜〜。
いきなりかい。
独特の透明感を持った萌え度の高い絵柄で個人的に密かに注目していた水谷さんのオリジナル長篇です。・・・って、レギュラーの女のコキャラはヒロインのメルだけなんですけどね。おまけにメルも男装したりするし。
ストーリーの方は田舎から出て来た見習い魔法少女のメルが大魔道士・シルスファーン(男のコ)の身代わりになっちゃうというもの。コメディ作品のエピソードや短編にはもってこいのシチュエーションだけど、この作品はこのネタでストーリーを引っ張っちゃうんですね。
それも基本的にコメディ要素は抜きのきちんとしたストーリー。
だけど、シルスを取り巻いてた人々、メルを取り巻く人々、メルが出会う人々とメルの交流、そして彼女の決意と葛藤がしっかり描かれていて、そこに水谷さんのとろけるほどに愛らしい絵柄が加わるわけですから、これはもう「がんばれ〜」とまっすぐなメルちゃんを応援したくなってしまうわけなんですね。
萌えて、ファンタジーしてて、ドラマしてる。
そんな感じでみっちりおいしい作品なのです。
メルリーウィ。呼びにくいのでメルと略。
ヴァイオレットシルバーの髪がトレードマーク、おっきな瞳と、なにごとにも真剣な一途さがチャームポイントの見習い魔法少女です。勝気で負けず嫌いなところと、起伏に乏しい体型はヒロインとして基本中の基本。そんな要素がミックスされて、ヒロインらしい魅力がみっしりしまった萌え度の高〜い女の子です。
そんな彼女が大魔道士・シルスファーンに扮した姿は中性的なリリシズムがただよって来たりしまして、こちらも魅力的。
基本的にマジメキャラなので、時に立ち止まったり、迷ったり、転んだりすることがありますが、簡単に泣いたり挫けたりしないで、与えられた役目に全力でぶつかろうという真摯さが光りますね。かわいいだけじゃなく、華奢な中に力強さを秘めたヒロインです。
典型的がさつ系少女マンガヒーローのヴァイス、ショタ系口悪少年・フェルン、中性的なイメージのグレン、黒髪長髪眼鏡ひねくれ系・ユエと少女マンガのように(ちゅーかこのマンガ〜あるいはゼロサムという雑誌、少年系に分類したらいいのか少女系なのかいまひとつわかんないんですけど)美形ヒーローが並ぶんですが、取りあえずこの辺はかる〜く無視。
こちらでのピックアップは第五話のゲスト、セラフィア姫〜っ♪
なんつったって、姫です。ウェーブヘアにひらひらのドレス、ろり系のルックスに天下無敵のわがままっぷり。
なってったって、姫です。萌。
美形目白押しのロイヤルストーリー。雰囲気、絵柄ともに少女マンガしてますねー。
少女マンガらしく、ストーリーやディテールよりもキャラクターに視線が送られているので、がんばるメルにはらはら萌え萌えする方向で読みましょう。
あまり王族間の権謀術策だとか、派閥争いだとか、そーゆーややこしいものは出て来ませんので、ライトに楽しめますね。
2003.9