(コゲどんぼ/メディアワークス電撃コミックス・全8巻)
アパートに父とふたりで暮らす小学六年生・樋口湖太郎がいつものように登校しようとすると、そこには「わたしとつきあってください!!」と湖太郎に語りかける、珍妙な格好の女性が。
湖太郎の隣に越してきた彼女−美紗−は「コタローくんのお母さんになる!」とはりきってくれるが、実態は湖太郎の邪魔ばかり。クールな彼の日常に、にぎやかな風が吹きはじめた・・・
ミステリアスでハイテンションで、どこか落ち着いた雰囲気の漂うコメディー。
「デ・ジ・キャラット」でおなじみコゲどんぼさんのコミックということで、連載開始当初から話題となった作品。いよいよこちらでも紹介させていただきます。
まぁ、美紗さん、紫亜さん、早紗さんのフリフリ天使トリオ+小星ちゃんという、美少女軍団の多彩な表情(+美紗さんのコスプレ)が売り物の作品で、まずは「萌え〜」と楽しみたい作品。
で、彼女らに誘われるままに作品世界に飛び込んでいくと、湖太郎の過去と未来、美紗さんの背景、紫亜さんの正体・・・と、次から次へと謎が浮かんできて(御手洗家もなかなか謎だ)、いつの間にか作品世界にからめ取られてしまうんですよね。
基本的にはしっとり系の作品ながら、美紗さんの天衣無縫でどこか優しさのある言動のおかげで、ほわほわと明るく優しい雰囲気でひたれるところも嬉しいポイント。
でも最後はやっぱり、女の子達の笑顔に萌え萌えしちゃうんですけどね。
えーと。
誰が何と言おうとこのページでは紫亜さんを推します。・・・とゆーか、私がここで美紗さんを推したりなんかしたら、逆に「どーしたびぜんや!?」とか思われそうですし(汗)。
行数稼ぎの余汰はこのへんにしときまして、紫亜さんの紹介に突入しましょう。
もちろんその漆黒の髪に闇色の瞳という容姿がポイント高!なわけなんですが、さらに美紗さんと好対照なおとなしい言動とふりふりのちょっと珍妙なコスチューム、やっぱりどこかズレた行動が相まって、独特のムードを漂わせていて、そのへんもまた注目点。
なにより、ストーリーにも絡んだミステリアスな雰囲気と、どこか寂しげな表情がぐぐっと来るんですよね。そんでもって、お布団の中から手をつかまれて「・・・・・・・・1人に・・・・・・・・しないで・・・・」なんて言われちゃったりすると、もう、保護欲がぐぎゅーーーーーーーーーんと刺激されちゃうワケなんです。眉根の表情がまたいいですよね。
うーん、なんというか比較的地味なキャラクターなのに、個性というかポイントというか萌え要素というかが結構いろいろありまして、文章であーだこーだと書くのがちょっと難しいのも事実。それが、紫亜さんの漂わせる「ミステリアスさ」の素敵なところなんですけどね。
まずは私のヨメさんから激推のあった主人公・樋口湖太郎少年からまいりましょー!
長い前髪の奥に隠した、小学生離れした堅い表情と、幼さが残るあごのラインがチャームポイント。こんなデキた小学生、いないよなー、と思わせつつも、健気さやひ弱さが垣間見えるあたりが絶妙な感じで、うん、独特の雰囲気を持った主人公ですね。
お次はヒロイン・美紗さん。「てひひーっ」と「−っス!」の言葉遣いが印象的な壊れ美少女天使系(・・・なんか藤田まこと主演のドラマみたいだな)。基本的にシリアスな作品世界をひとりでぶっこわしてくれる、楽しい天使です。傍若無人で天真爛漫なその行動に読みながら唖然としつつも、その一途さと一所懸命さにどこかほわんと心を打たれてしまいます。
うーん、評価の難しい作品ですね。やっぱり基本的には絵柄が好きな人向け、ということになってしまうのかな。
作品世界はしっかりしてますし、ストーリーの目指すところははっきりしている、雰囲気はそれなりにしっとり重め、で、基本的には青年誌的な「読ませる」作品なんですが、とにかく美紗さんがその雰囲気を力技でぶっこわして陽性にしているので、ちょっと散漫な印象があり、評価が別れるところ。「壊れしっとり系」という感じの作品なので、そういう雰囲気がお好みの方なら楽しめると思います。
2001.5