R.O.D

(綾永らん・倉田英之/集英社ヤングジャンプコミックスウルトラ・全4巻)

ノーマルモードへ

Story

香港の一角にある「紙姉妹探偵社」。そこは稀覯本や盗本の捜索から真贋鑑定、修復などを仕事とする、本専門の探偵社だ。
おっとりした長女・ミシェール、気は優しくて力持ちの次女・マギー、活発でしっかり者の末娘・アニタ。彼女らの許には、今日も本を巡る冒険がやって来る。

Impression

1998年11月のサイト開設以来、集英社「ジャンプ」ブランドのマンガを紹介することなく営業して来た当サイトですが、ついに「ジャンプ」解禁です(いや、別に今まで禁じてたわけではないんですケド)。その第1号となるのがこの「R.O.D」。
「R.O.D」というタイトルを見て、ノベルレビューで紹介している倉田英之さん原作のライトノベル(同レーベルから山田秋太郎さんの作画でコミック化もされてますね)を思い出す方もいるかと思いますが、あちらのサブタイトルは「Read Or Die」(以下「Die」と表記)、こちらは「Read Or Dream」(以下「Dream」と表記)。
読書狂の紙を使った冒険譚、というアウトラインは共通ながら、全くカラーの違った作品になっています。
どのよーにカラーが違うかというと、「Die」がアクション風味だったのに対し、この「Dream」はほのぼのまったり風味。第1話などでは探偵ものらしく、「Die」ゆずりのペーパーアクションも見られるんですが、基本的には、SF的趣向も交えつつ、本好きの日常をコミカルに描いた作品になっています。
ボケ姉・ミシェール×ツッコミ妹・アニタの軽快なかけあいを軸に、時に本好きには「あ痛ぁ!」な小ネタをちりばめたりして、くすりと笑わせつつ和みの境地に連れ去ってくれる、そんな作品です。 

Charactor

姉妹、という言葉だけでもどきどきしますが、三姉妹となるとなんか特別なときめきを感じちゃいますねー。とゆーわけで本編の中核、紙姉妹の紹介です。
まずは末の妹・アニタ。ミシェールが言うところの、「象が踏んでも壊れにくい」、元気一杯の女のコです。ショートカットの髪形と、発達途上のプロポーションが、中性的な魅力になってますね。紙姉妹探偵社唯一の行動派であり、生活力不全の姉たちを支えるしっかり者であり、ボケ系の姉たちに対する貴重なツッコミ役。存在感の強い末娘なのです。
「大きい!強い!鈍い!」がキャッチフレーズなのは次女のマギー。黒髪ショートカットボーイッシュ系。アニタとは違った意味で、中性的な魅力がありますね。いつもおとなしく、ぼーっとしてるように見えますが、その実やっぱりおとなしくてぼーっとしてるところがいい存在感になっています。
長女のミシェールは完全ボケ役。行動原理はその場のノリと思いつき。作品世界をいーよーに引っかき回し、ふたりの妹を巻き込んで盛りあげる、いー味出してるキャラクターです。天然系のキャラクターと無駄に立派なプロポーションは、「Die」のヒロイン、読子=リードマンを彷彿とさせますね。

Guide

細かいことは考えず、キャラクターのドタバタを楽しむタイプの作品ですね。1巻の巻末対談で「やっぱり猫が好きをあおいちゃんパニックで」(・・・分かるかな?)という倉田さんの言葉が出て来ますが、まさにそんな感じで。ムードに流されて楽しみましょう。

2004.3