(樋口橘/白泉社花とゆめコミックス)
樋口橘さんの第一短編集。
品行方正・容姿端麗・成績優秀な仁礼椿だが、実は玉の輿を狙う貧乏女子高生。必死の演技で積み上げてきたその評価だったが、その秘密を転校生の相葉に見つけられ・・・椿は無事玉の輿に乗れるのか?
「シンデレラ」をモチーフにした表題作を始め、高校生の不器用な恋愛を描いた3作を収録。
うーん、感じのいい作品集ですね〜
萌える〜という感じではないし、テンションが高くてどかーん!と来るワケでもないけど、確実に入ってきますよ、これは。
3作ともそれぞれの形で「すれ違い」というのがテーマになっているんですが、これと童話を絡めた描写の巧みさが秀逸!!「うわっ!うわっ!!うわっ!!!」という感じで、ストーリーに引き込まれていってしまうんですね。
基本的に女のコの心理描写がメインのストーリーですが、相手役の男性キャラも個性的でありながら突出していなくて、なかなか気持ちのいい感じ。
読み応えのある作品で、オススメです。
一番のお気に入りは「かえる王女」の菊姫頼子ちゃん。美人で性格悪くて・・・というところがなんともいいですね。しかも、なかなか過酷な運命とコンプレックスを背負っていて、感情がぐびぐびと入ってしまいます。
「スワンレイク」の仁礼椿ちゃん。出たぞ。黒髪ショートボブ美少女。この作品集のキャラクターに共通してますが、ちょっと浮世離れした透明感がいいですね。けっこう表情豊かで、表バージョンと裏バージョンで印象が違って、なかなかいい味出してくれます。
「人魚」の但馬さん。てってーてきに無口、てってーてきに無表情。神秘的な感じでぐぅです。こういう設定は心にぐぐっと来る女のコも(男のコもかな)多いのでは?内気なキャラクターっていうのは多いけど、人魚姫と絡めて、非常に突き抜けたキャラクターになってますね。好感度、大です。
このHPで取り上げる作品としてはかなり地味な部類に入りますが、割合ボリューム感あるストーリーでもテンポが良く、すいすい読めて苦になりません。
個人的にはボリュームの少ない「人魚」「かえる王女」から読み始めて、「スワンレイク」を最後に取っとくのがおいしい読み方かな、という気がします。