トリコロ

(海藍/芳文社マンガタイムきららコミックス・全2巻)

この作品は浅木原忍さんにご紹介いただきました

ノーマルモードへ

Story

母子ふたり暮らしの七瀬家に、ふたりの同居人がやって来ることになった。
そして、大阪からやって来た青野真紀子と、広島からやって来た由崎多汰美のふたりは、同い年の七瀬八重と、すぐに姉妹のように仲良くなる。
七瀬家を舞台に日常を鮮やかに切り取った、アットホーム四コマ。

Impression

「トリコロ」。
カバーにtricolor-sistersと書いてあるわりに、メインキャラが4人いるよーな気もするが気にするな。
ホームコメディ的な雰囲気をもった、楽しい四コママンガです。
幸江さんと八重ちゃんの七瀬母子に、同居人の多汰美ちゃん、真紀子ちゃんが織りなす下宿ものなんですが、表札に「長女・次女・三女・・・」なんて書いてしまうくらいで、実の姉妹のように仲のいい三人娘なんですね。だから、下宿もののような雑駁さというよりも、ホームコメディみたいなほのぼの感が漂ってるんですよね。なんか読んでいると、友達の中にいるような、あるいは家族と一緒にいるような、そんなぬくぬく感に首までひたってしまえるのです。
もうひとつ、この作品で特筆したいのはそのセンス。干し柿を「かきみーら」と呼んでみたり、その甘さを「初孫にはじめて会った祖父」と表現してみたり。そーゆーセンスがあちこちで炸裂してて、ページをめくって膝をぽんと叩き「巧いなぁ〜」とうなりつつ大爆笑してしまう、そんな感じがあるのです。
きちんと前後の脈略を考えたエピソードづくり、読者を「おっ」と思わせる掴みの巧さ、キャラがかわいいだけでも十分だってーのに、キャラクターに頼らず全面的に読者を笑わせようとする多方面作戦が効いていて、ほんと、どこからでもほのぼの笑える好作品。
群を抜いた充実度を誇る、オススメの作品です。

Charactor

ちみっちゃヒロイ〜ン♪
それが七瀬家のひとり娘、八重ちゃん。ぱっちりおめめがかわいーけど、半寝顔とか堕天使の寝顔とかもかわいー女のコです。
純真ちみっちゃ天然系、に思わせておいて四十代のカラダを持つ女子高生。四コママンガのヒロインらしく、全身これネタです。ちっちゃなカラダに童顔が魅力なんですが、それを超絶補強するのが「しょうわせるしぇきゆ」な滑舌の悪さと、同級生の真紀子ちゃんたちに対しても欠かさない丁寧語。年下感が妹感がジューシーに迸る、そんなヒロインです。
歩く仁義なき戦い、七瀬家下宿人広島県代表が由崎多汰美ちゃん。わかりやすいボケでコメディ指数をうなぎのぼりにアップさせる、いい味出してるかき回し役です。個人的にこーゆーキャラ、好きです。油断してると爆弾発言をボンボボンボとかましてくれる、イキオイ8000rpmのロータリーエンジン。ぶっきらぼうな広島弁から何が飛び出すか、目を離せませんね。とりあえず将棋はさせるな。
七瀬家下宿人大阪府代表のメガネっ娘が青野真紀子ちゃん。「まきこ」じゃないよ、「まきし」だよ。「トリコロ」のなかでは貴重なツッコミ役。同時に、かわいい系四コマには描かせない、体重ネタ担当でもあります。天然・八重ちゃんと狙いボケの多汰美ちゃに囲まれて、苦労が絶えない・・・と思わせつつ、けっこうネタを提供してる、おいしいキャラです。
ラストの紹介は潦景子ちゃん。すいません、「にわたずみ」なんて漢字、一発では変換出来ないんですが。「荷綿済」になってしまうんですが。
それはともかく、にわちゃんの特徴はなんといっても、八重ちゃんを溺愛!猛愛!暴愛!していること。その姿はまさに愛と欲望のハンター、もしくはあけっぴろげなストーカー。八重ちゃんべったりなその姿がほほえましくもうらやましくなってしまいます。

Guide

基本的には、キャラクターで楽しむタイプの四コマですね。
とはいえ、ネタのセンスもありますし、もちろんキャラクターの色付けはしっかりしてるので、読んで楽しみたい方、萌えてたのしみたい方どちらでもオッケーだと思います。
若干絵柄にクセがありますが、四コマというジャンルの中で考えれば、十分許容範囲でしょう。

2004.4