ゆづきさん、沸きました。

(望月あづみ/小学館サンデーGXコミックス・全2巻)

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Story

和泉柚月は、お肌のコーナーは確実に曲がっちゃっているデザイナー。
今日もクライアントの無茶なオーダーに振り回され、残業の日々。
そんなゆづきさんのエナジー回復の源は、一日最後のバスタイム。そのこだわりのバスタイムを、ちょっと拝見。

Impression

描いている「望月あづみ」さんは、信州の草競馬好き兼温泉好きとしては、望月駒の里草競馬大会とか安曇野観光草競馬とか、望月温泉とか、白骨温泉とか中の湯温泉とか沢渡温泉とか(←3温泉が存在するのが松本市安曇地区)が思い出されて、な〜んとなく気になるマンガ家さんだったんですが。
このたびリリースされたのは、競馬マンガ……ではなく、温泉マンガ……は微妙に近いんだけど……お風呂マンガ。
ヒロインの黒髪OL・ゆづきさんを筆頭に、美人OLの入浴シーンが満載の、バスタイムコミックなのです。
とはいえ、エロ成分は皆無、百合成分も絶無。重曹クエン酸風呂、二日酔い回復風呂、自作バスボムなど、アイディアたっぷりのゆづきさんの入浴法を見ながら、健康的な、あるいはいっぷう変わった入浴スタイルを楽しめる、蘊蓄たっぷりの実用作なのです。
まぁ、ちょっと蘊蓄がくどすぎるかなぁ、とか、ヴィジュアルにしてもゆづきさんの口調にしてもちょっとアクが強いかなぁ、という部分もあるんですが、そこがかえって癖になっちゃう、なんとも中毒性の高い作品。
肌色成分を満喫しつつお風呂に対する知識が深まって、読んだあと、お風呂に入りたくなってしまう、そんな作品です。

Yuduki Izumi

本編のヒロインが和泉柚月さん、お肌のコーナーは確実に曲がってる、二十X歳のデザイナーです。
黙っていれば誰もが振り返る黒髪巨乳の美人デザイナー、という感じですが、そのパーソナリティはどこか頼りなくて、どこかおっちょこちょいで、そしてなによりハイテンション。なんとも憎めないキャラクターなのです。
そんなゆづきさんのテンションがさらに限界を突破しちゃうのが、お風呂に入るとき。
美容のためなら! 疲労回復のためなら! リラックスのためなら! さまざまなアイディアを駆使し、全身全霊をかけてバスタイムをアグレッシヴに楽しむ、まさに“バスルームの申し子”なのです。
あまりにハイテンションすぎて、全然バスルームでリラックスできてないんじゃないかとか、ほっぽちゃんが若干引き気味じゃないかとか思わないでもないですが、そこはそれ、かわいいから許しましょう。
入浴時間をさらに楽しくしてくれる、黒髪のナヴィゲーターなのです。

Charactor

おだんごアタマにツインテールがトレードマークな、ゆづきさんの同期が発哺由花子さん。ほっぽ・ゆかこ、と読みます。通称・ほっぽちゃん。
入浴にただならぬ情熱とこだわりを見せるゆづきさんとは対照的に、ほっぽちゃんはお風呂にこだわりのない一般人。そこがゆづきさんと好対照になっていて、作品のいい進行役になっているんですね〜。
お風呂には無関心でも、お酒を呑むこと、遊ぶことに関しては情熱的。ゆづきさんとは別ベクトルでハイテンションなキャラクターで、結果的にいいコンビになっているのです。
腰まで伸びた黒髪に、吊り眼が印象的な美少女がゆづきさんの後輩、鳳龍院由布乃ちゃん。そのルックス通りの、生真面目っ娘なんですね〜。堅物のように見えて先輩思いだったり、周囲に流されやすかったり、そういうギャップが実に萌えポイント。シャワー派の由布乃ちゃんがこれからどうやって入浴派に宗旨替えするのかしないのか、そのへんが注目点ですね。
第1巻の終盤に登場は和泉瑞希さん。サングラスで隠した表情がクールな、ゆづきさんのお姉さんです。クールな、と書きましたがそのテンションは時にゆづきさん以上に高く、お風呂への愛は時にゆづきさんより深く、ゆづきさんを導いたり、ゆづきさんをかき回したりと、作品のいいエンジンになっているお姉さんです。

Guide

H要素は皆無ですが、女子の全裸がぽんぽん飛び出す作品な上に、テキストが多量。ゆづきさんの口調も独特の味があり、好みが別れる作品だと思います。読んで楽しむより、ビジュアル重視で手にしてみるのが無難、かも。

2016.5