(細野不二彦/小学館ビッグコミックス・全33巻)
東京湾岸にある「ギャラリーフェイク」は、その名の通り精巧な贋作のみを扱う贋作画廊。しかしそれは仮の姿で、実は盗品など闇のルートで高価な真作を捌くブローカーでもある。そのオーナー・藤田玲司はニューヨーク・メトロポリタン美術館で天才キュレーターの名を欲しいままにしていた修復の達人。彼の冷徹な審美眼と天才的な修復力が、美術界に巣くう悪を裁く。
一話完結の名手と私が勝手に思っている細野さんの作品の中でも、テーマ性、テンションの高さなどでひときわ楽しめる作品になっています。次々出てくるゲストキャラクターはステレオタイプなところがありますが、それが安っぽさにならず、難解になりがちなテーマを、キャラクターの説明に時間をとられない分、読みやすくする効果にしています。キオスクかどこかで手に取って、そのまますっと読める作品。真贋鑑定、発掘、修復と言ったテーマもきっちりと書かれているそうで、美術関係の知識もつきそうです。
1999.1