(小島あきら/エニックスガンガンウイングコミックス・全12巻)
突然の上京を思い立った専門学校生・白鳥隆士は、母方の従姉妹のつてで、下宿屋・鳴滝荘に住むことに。
そこで最初に出会ったセーラー服の少女・蒼葉梢は、なんと大家さんだった。
過去の隆士を知っているらしい梢の優しい好意を受けるうちに、とまどいつつもほのかな好意を梢に対して抱く隆士。しかし、ひょんなことから隆士は梢の持病である、解離性同一性障害−多重人格を呼び起こしてしまう。
暖かなムードが魅力的ですね。
キャラクター要素のラブコメ作品ですが、あまりテンションで押す感じではなく、テキストの多さ、コマ割りの細かさで、じっくり読ませてムードで攻める作品、といった印象を感じました。小ネタはけっこうありますが、こちらもそこで笑わせると言うよりは、くすりとさせてムードを作る、という役割が大きいようです。ラブコメよりもホームコメディーに近いのかな、という感じですね。
多重人格や、梢と隆士の過去など、今後、読ませる方向に進むと思われる設定が軸になっていますが、コメデイ要素とうまくバランスされており、そのへんが微妙に作品のムードをしっとり柔らかな感じにしているようです。
落ち着いて読み込めるラブコメとして、なかなか貴重な存在の作品ですね。
2001.10