(水上航/講談社コミックスなかよし・全3巻)
北海道から東京・鳳凰聖学園馬術部にスカウトされてきた中学二年生・六匠(りくしょう)みことは、転校初日、馬術部の馬たちが暴走する事件に遭遇、ひと声でみごとにそれを鎮めてみせる。
事件を防ぐため厩舎に泊まり込んだみことはそこで、学園を荒らす「鬼」に対抗する勢力で、五感それぞれに秀でた能力を持つ者の集団「守護神」と遭遇、自身が「第六感」という能力を持つ能力者であると知らされる。
リーダー・次晴にさそわれるままに、守護神のメンバーとなったみことだが、彼女が気になるのはメンバーの中でひとり、みことに冷たい態度をとり続ける坂祝温夜(さかほぎ・はるや)のことだった・・・
「なかよし」は最近、若々しいセンスが魅力的なマンガ家さんが続々ブレイクしてますが、リズム作り、画面作りが魅力的な水上航さんの長編第2作が本作品です。
オーソドックスな学園アドベンチャーといった感じの設定ですが、天真爛漫な自然児・みことと、人との関わりを拒絶する温夜の関わりを縦糸に、学園に巣くう「鬼」と、個性と正義感にあふれた「守護神」の戦いを横糸に、ともにストーリーの軸となる部分をぴんと張っているので飽きるところがなく、楽しく読むことが出来ます。
ローティーンの読者が心躍らせるようなコメディ要素やキャラクター要素もしっかり抑えながらも、そういった要素がストーリーの軸を邪魔していないので、絵柄ほどの幼さは感じられません。
ストーリーに重心を置きながらアクセントを上手く使ったストーリー作りには、アドベンチャー系のノベルスやゲームのような雰囲気を感じますね。このへんのセンスが、この作品のいい色合いになっていると思います。
2001.10