1+1(いちたすいち)

(藤崎真緒/白泉社花とゆめコミックス・全10巻)

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Story

幾見めいとたけるは、生まれが一日違うだけの双子の姉弟。
甘えん坊でどこか抜けてるめいと、しっかり者のたけるは、姉弟というよりは兄妹のようなコンビだが、周囲が呆れるほどのなかよしさんだ。
ふたりはそれぞれに、学園祭のパートナーを決める「パートナーシップシステム」で人気を集め、騒動の渦中に。そんな中、めいは自分がブラコンだということにようやく気づいて・・・

Impression

いやー、「お星様にお願いっ!」以降、これで4作連続の藤崎作品紹介となるんですが。
またやってくれました藤崎真緒!
ばりばり少女マンガの絵柄+らぶらぶ少女マンガノリのベリ甘タッグにいかにも男のコが好きそうなヒロインの組み合わせという魅惑の新作をまたもリリース。
笑顔が可愛い甘え上手、めいちゃんの魅力が読み手のココロを灰になるまで萌え焦がす学園姉弟ラブコメディをぶっ放してくれました。
そのタイトルは「1+1」。
しかし、天然ボケ姉・めいちゃんとパーフェクトツッコミ弟・るー君のコンビネーションは「1+1=∞」と言いたくなるほど、甘い楽しさがページに充満しちゃっています。
藤崎作品の常道ですが、この作品の魅力はイコールめいちゃんの魅力。ぽけぽけ〜っとしていてぬくぬくしている、めいちゃんのキャラにひたすらとろけながら、賑やかで楽しく、そして甘く切ない学園ライフ&ホームライフの雰囲気を心ゆくまで楽しむ、キャラでマンガを楽しむヒトにはひっじょ〜にわかりやすい作品構造になっています。
めいちゃんの、弟・るー君に対する秘めた想い、っていうのがメインテーマになっているんですが、めいちゃんのキャラクターのおかげでどろどろした部分はなく、あっけらかんとしてスキンシップ過剰気味の姉弟のコミュニケーションを、ほのぼのしながら楽しむ感じ。しかし、その隙間にしっかりナミダの味も混じってて、そこが、うん。少女マンガしててたまらないんですよねー。
二度でも三度でも何度でも読み返したくなる、甘酸っぱさがたまらないライトラブコメ。ぬくぬくしたい時、ほっとしたい時、らぶらぶ成分を補充したい時、手元に置いときたい一冊なのです。

May Ikumi

カバーでは可憐なお嬢様イメージ。
第1話冒頭では家庭的なお姉ちゃんイメージ。
で、読み進めてみれば世話のやける可愛い天然系。
どのモードでもOK、かわいいから全然許すっ。そんな感じの黒髪ヒロインです。
ああー、ほんとかわいすぎて萌え死ねるぞぉ、これは。
甘えたさんでわがままで、天然マイペースでほっとけなくて、思いっきり抜けてるってーのにお姉さん気取りだったりして、そんなすべてひっくるめてほっとけなくなる、目が離せない感じのヒロイン。
弟のるー君にべたべたでいつでもどこでもスキンシップを図って来たり、楽しくなると元気に歌いだしたりする天真爛漫さもキュート。
それでいてしっかり家庭的な一面も持っていて、裁縫は得意中の得意、っていうところが似合ってるんだか意外なんだかで、そこもまたチャームポイントになってます。っつーか、俺もめいちゃんの手編みセーターが欲しいーーーーーーーーーー。そんな感じ。弟のるー君に対する恋心に気づいてせつなさに涙しちゃったりする部分も、普段のめいちゃんとはいい意味でギャップがあって、印象的ですね。
とはいえやっぱりめいちゃんのかわいさは「こいつ自分をわかってねー」的な危うさにあるわけで、るー君ならずともほっとけない。
でも、こんなかわいくて優しいお姉ちゃんに振り回されるなら、男として本望ですよねっ。

Guide

基本的には姉弟恋愛ものなんですが、学園エピソードとの絡ませ方と、めいちゃんのキャラのおかげで、あまりどろどろしたムードはなく、ほえほえした学園ラブコメとして楽しめます。
藤崎作品の定番ながら、ヒロインのインパクトが強いので、少女マンガに慣れてない方でもイケるかな、という気がします。ただ、絵柄はちょっと癖がありますけどね。

2004.7