十二宮でつかまえて

(安藤なつみ/講談社コミックスなかよし・全4巻)

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Story

星沢りりは元気活発な十三歳。有名な占い師の家系に育った彼女は「マドモアゼルりり」の名前で占いの館を開いているのだ。
そんな彼女の裏の顔は、どんな難事件もたちどころに解いてしまう名探偵「スピカ」。刑事である父と先代「スピカ」の母の血を受け継ぐりりは、「スターリング」の力で事件を解決してしまうのだ。
クラスメイト・瀬戸千尋の変死事件の捜査に乗り出したりりは千尋の星座・おとめ座の星霊デメーテルをスターリングから呼び出し、手がかりをつかむ。
さて、真犯人は・・・?

Impression

ライト&ポップな少女系ミステリー作品ですね。
ヒロインのりりちゃんが、中学生ながら占い師で、かつ名探偵、秀才の幼なじみつきという設定は、夢見る少女たちにはなんとも美味しい設定。
しかし、夢も希望もどこかへ追いやって、萌えというオプションを手に入れた怪しいにーちゃんにとっても、強気少女・りりちゃんの多彩な表情&コスチューム、かわいいちびキャラ星霊たちというなんとも美味しい要素がそろってたりするのです。
謎解きは本格というにはちょっと辛いものがありますが、女子校とかTV局とか京都とか、いかにも女の子好みのシチュエーションと、じわじわとりりぽんと犯人の距離が狭まっていくスリルのあるストーリー運びで、なかなか楽しめるサスペンスドラマ仕立て。
かわいらしさで楽しんで、ストーリーで楽しめる、ついでに星占いの知識も身についてなんかの役に立つかもしれない、一石2.5鳥な占星探偵ストーリーです。

Riri Hoshizawa

かわいい系好き=垂れ目好きというのが定番のような気がしますが(気のせいか?)。
実はびぜんや、吊り眼キャラも結構好きだったりします(藍沢みんととかユウカナリアとか八重樫つばさとか・・・)。
そんな私にとって、安藤なつみさんはかわいい系吊り眼描きのスペシャリストとでも名付けたい存在。そして、当作品のヒロイン・星沢りりちゃんはまさにプリンセス・オブ・吊り眼キャラという感じの魅力を醸しだしてくれてます。
吊り眼キャラの魅力と言えばやはり、強気&元気!ですよね。
りりちゃんの魅力もまさに、それ。いきなり自らを「天才占星術師」と称するその自信満々っぷりがうれしいヒロインなんですよねー。
とにかく自信満々の態度で事件の渦中に飛び込み、少女マンガのヒロインとは思えないほど不遜で堂々とした謎解きを披露。とにかく痛快感満点。
ヒロインらしいアクの強さがきらきら光る、そんなヒロインです。

Charactor

りりの推理を助けるちみっちゃかわいい星霊たちが当作品のもうひとつのメインキャラ。
ちなみにさそり座のアンタレスは、「いつまでも根に持って」「使命感が強い」キャラとして描かれています。
うーむ、否定出来ん・・・
りりちゃんのパートナーが同級生で幼なじみの及川広海。もちろん美形、加えて中学生にして大学修了済という秀才なんですが、女性アレルギーという欠点でぜ〜んぶダメダメになってるあたりがチャーミングなキャラクターです。ちなみにFile7で見せてくれた女装っぷりもなかなかぐぅ。

Guide

ミステリーとしては甘い点も散見されるので、キャラとサスペンスタッチのノリを楽しむ、そんな感じで読んだ方がいいでしょうね。キャッチーなシチュエーションとかテンション高いかけあいとかはもろに、TVの推理ドラマのノリです。
殺伐とした流血シーンとかはないので、事件ものが苦手な方でも気軽に楽しめると思います。

2003.3