おってけ! 3ハロン

(松本ぷりっつ/産経新聞社ギャロップコミック・1〜3巻)

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Story

競馬週刊誌「Gallop」で、その週に行われる重賞レースをテーマに連載されているショートコミックを単行本化。
擬人化された競走馬が繰り広げる、ホットでポップで、妙にリアルな競馬コメディ。

Impression

競馬週刊誌「Gallop」に掲載されている1ページマンガ。
というわけで、登場「人」物はゼロ。登場するのはすべて擬人化された「競走馬」という、当サイトで紹介している作品のなかでもずば抜けて異色の作品です。
当然、競馬を知らない人には完全無欠にちんぷんかんぷんな作品なんですが、競馬好きの人にはいちいちニヤリと出来る、そんなニッチ的な作品になっているのです。
私自身、「週刊萌馬」というブログで競走馬の個性にフォーカスを当てた競馬予想を書いているので、このへん、じつにツボでしたね〜。
親バカ・ゼンノロブロイが現れたかと思えば、モンペア・ローズバドが横暴の限りを尽くし、マツリダゴッホはちゃぶ台をひっくり返して、やはぎブラザースが漫才を。アルナスラインはツイッターで呟いて、ローレルゲレイロとグロリアスノアはドバイではしゃぎ、ナカヤマフェスタはモッテモテで一方セイウンワンダーは常に地味と、分かる人には分かるキャラづけで、徹頭徹尾にやにやさせてくれます。
一見さんお断りな内容の分、分かる人には濃ゆ〜く楽しめるショートコミックです。

Charactor

まぁ、もう、萌えとかそう言うレベルで語る作品じゃないですが。
それでも萌えて見せるのが、オースミハルカに、ブルーメンブラットに、ウオッカに、イタリアンレッドに萌えてきた「週刊萌馬」編集長の心意気!
……というわけで、当作品に出てくるかわいい牝馬を一挙公開!
(……うん、まぁ、牝馬の中で一番目立っているのは、ローズキングダムの母にしてモンスターペアレントのローズバドさんではあるのですが)
実馬も「アイドル顔」として知られる芦毛のレーヴディソールちゃんは、純真無垢な表情が芦毛にマッチしていて、実にいいですね〜。2歳馬らしい、ロリロリしたムードがたまらないですね。
天皇賞4着のオウケンサクラちゃんは、勉強熱心なキャラ。オウケンブルースリの妹役、という感じのポジションと、あっけらかんとした天然っぷりが、なんとも愛らしいですね〜。
ヴィクトリアマイル2着のブラボーデイジーは「姐さん」と呼びたくなるような、古馬らしい風格がありますね〜。我が道を行く芦毛のダイエッター。存在感はたっぷりです。
当ブログ的にはやっぱり馬名が気になって仕方ないのが、秋華賞2着のアニメイトバイオちゃん。誘導馬に憧れ、ナカヤマフェスタに憧れる、夢見る乙女なのです。ロブロイ父さんに振り回されっぱなしですけどね。
個人的には、実馬がお気に入りのアプリコットフィズウオッカの出番が少ないのが、ちょっと残念ですねぇ。

Guide

もう、競馬分からない人は完全に置き去りにされてしまう作品ですね。
「毎週、重賞はチェックしてるぜ」ぐらいの人じゃないと、ついていきにくいと思います。この本で触れられているのは主に2010年の競馬界の内容なので、分かる人なら当時のことを思い出して「そういやドモナラズなんて馬、いたっけ……」などと思い出しながらニヤニヤ出来ると思います。
いちおう欄外に「競馬用語辞典」がついてますが、参考になるかどうかはちょっと微妙ですね(苦笑)。

2012.6