（ＣＬＡＭＰ／角川書店あすかコミックスマガジン・１〜１８巻）
母の遺言に従い、６年ぶりに東京に帰ってきた超能力者・司狼神威。彼を迎えた幼馴染の刀隠神社の桃生封真・小鳥兄妹。
しかし神威は人類を護る者、「天の龍／七つの封印」として、封真は地球を護る者、「地の龍／七人の御使い」として、人類と地球の未来を賭け、対立する事になる。
そしてその時、１９９９年の「約束の日」へ向けて、「地球」をかけた「最後の戦い」−果てしない破壊の連続−の幕が切って落とされることになる・・・
ハードな作品ですねえ。
次々と破壊されて行く東京の繁華街、あいつぐ−惨殺と表現したいほどにハードな−キャラクターの死、スピード感とスケール感に溢れた超能力バトル。
今まで当コーナーで紹介して来た「カードキャプターさくら」「ＡＮＧＥＬＩＣ ＬＡＹＥＲ」などのノリで読もうとすると、かなりキツいと思いますが、これもまたＣＬＡＭＰさんの持ち味。
地球を滅びに導きながらも人間を守ろうとする神威ら「天の龍」と、人間を滅ぼしても地球を守ろうとする封真ら「地の龍」の戦いという、ハードでスケール感に満ちたテーマを、しっかりと描き上げてくれています。
もちろんキャラクターはグラマーなねーちゃんやかっこいーにーちゃんがどっちゃり。ＣＬＡＭＰさんらしい個性こってりの顔ぶれが、東京を舞台に激しい超能力バトルを展開してくれるのですから、手に汗握るなと言うのが無理というもの。
全身全霊をかけて向かい合いたい、重量感あるファンタジーです。
というわけで皇北都ちゃんです〜
・・・１４巻の一番最後の方にようやく出てきたキャラクターを推してどーするというのでしょうか、びぜんやは。
しかし「東京ＢＡＢＹＬＯＮ」からＣＬＡＭＰ作品に入った私としては、同作品から引き継がれたキャラクターである北都ちゃんは、どーしても外せないキャラクターなんですよねー。まあ、「天の龍」の皇昴流、「地の龍」の桜塚星史郎の両名も同様ですが。
昴流くんをぐいぐい引っ張ってく、ちょっと強引で天真爛漫なお姉さんぷりがこれから出てくるのか。あるいは新たな役割が・・・？今はただ注目としか言えませんが・・・
なんにしても北都ちゃんの１００万弗すまいるこそが「Ｘ」この先最大の見所なのは間違い無いですよ。
まずはなぜか男キャラから。有洙川空汰（ありすがわ・そらた）くん。いい味出してますねー。いつもにこにこすっとぼけた感じで、重い作品の中、一服の清涼剤という感じですね。ＣＬＡＭＰさんの描く関西弁キャラはみんなノリがよくて、よろしいです。
女性キャラでは、なんといっても「犬鬼」の使い手、猫依譲刃（ねこい・ゆずりは）ちゃん。ううっ、ぴちぴちの１４歳ですぅぅぅ。天然モードと戦闘モードのきりかえぶりがなかなかようおます。
炎の泡姫・夏澄火煉（かすみ・かれん）さんもすっとぼけ系の「いー味出してはりまんなあ」型キャラ。おとなの魅力がぷんぷんなのはいーんですけど、下着姿で梢に座ってた時はさすがに度肝ぬかれました（笑）。
「地の龍」側では眼鏡が印象的な八頭司颯姫（やとうじ・さつき）ちゃんが気になる存在。むっちゃクールと言うか、無感情なところがえーんですわ。
・・・それにしてもいちいちキャラ名にふりがなつけなきゃならないなんて、難儀なマンガだなぁ。
キャラクター性バッチリ、テーマ性もしっかりしている上に、重い雰囲気の作品なので、まじめに正面からぶつかるのはちょっと体力が要りますね。
まずは「天の龍」と「地の龍」のハイスピードバトルを味わい、そのあとでひとりひとりのキャラクターを追って行くのが読み解く近道かも。セリフが少なく、コマが大きいので、読み進めるのは早いと思います。
ただ、内容がハードな作品なので、好みは分かれると思います。
２０００．５