クレーンゲームあぁむたん

(坂巻あきむ/飛鳥新社E☆2コミックス・全2巻)

ノーマルモードへ

Story

とある街のゲームセンターに送られて来た最新ゲーム機。
それは、擬人化キャラが景品を運ぶ、驚きの「擬人化クレーンゲーム」あぁむたんだった。
わざと景品を落としちゃう「ポロリもあるよ機能」など、多彩かつ無意味な性能をもつあぁむたんは、筐体を飛び出し、騒動を巻き起こす。
さらには「ツンデレあぁむたん」「双子あぁむたんず」「妹あぁむたん」たちも仲間に加わって……

Impression

クレーンゲームの擬人化というなんだかな〜的な設定。
ヒロインがあぁむたんという安直なネーミング。
これでもかとばかりにぷに感漂うカバー。
良識ある(←え?)37歳男子の購買欲を躊躇わせるのに十分な、イージー過ぎる作品ですが。
イージー過ぎるほどイージーに楽しめちゃいました。
基本的には街のゲーセンを舞台にした、かわいくてほのぼのな日常コメディ。
そこにあぁむたんたちが醸し出す萌え要素と、イージーに楽しめるチープなハプニング、そしてちょっとHなハレンチ要素が加わって、和みながらもにやにやくすくす笑える頬筋弛緩率120%な作品になっているんですね。
ムードがあっけらかんとしているから、突拍子もない設定も、ハレンチな小ネタも笑って許せちゃう。
37歳男子があっさりハマっちゃうパワーを持った作品です。

Dojikko-Aamutan

この作品にはいろんなあぁむたんが出てくるんですが、やっぱり作品の牽引機となるのは、旧あぁむたん。またの名をドジっ子あぁむたんです。
ソリッドでクールというゲーム機の常識を、マゼラン星雲の向こうまで吹っ飛ばす、ぷにぷに感抜群な擬人化クレーンゲーム機。
ゲーム機なのにドジっ娘属性。しかも筐体の外には平気で出てくわ、店長さんにひと目惚れして油断してると襲っちゃうわ、店長さんの言葉は自分の都合のいいように脳内変換しちゃうわ、店長さんと筐体の中で一夜を明かしたりするわ、ほっとくと言動がどんどん破廉恥方向へ向かっていくわ、もぅどんなゲーム機やねん! とツッコまずにはいらないとゆーか、もはやツッコむ気も失せるというか、そんな非常識キャラなのです。
非常識だけど、ぷにかわいくて、一途で、健気。
旧あぁむたんの言動にいちいち心の中でツッコみながらも、ツッコむごとに愛情がわいてくる、愛すべき擬人化キャラです。

Charactor

旧あぁむたんだけがあぁむたんだけではありません。
ツンデレあぁむたんや、BLあぁむたん(!)など、さまざまなニーズに応えるあぁむたんを繰り出して来るのが、この作品の強みなのです。
第3話から登場する最強コンビが双子あぁむたんず
おっとり清純キャラの白あぁむたんと、百合風味な黒あぁむちん。
双子のあぁむたんがひとつの筐体内でからみあっちゃうというシチュエーションは、まさに函の中の楽園。迸るときめきは萌えのツインカムターボ。
言動で作品をひっぱるのが旧あぁむたんなら、萌え度を炸裂させて当作品を盛り上げているのは、この双子かもしれません。
7ゲームで登場するのはその名もずばり妹あぁむたん
控えめな微笑みがかぁいぃですね〜。
「お兄ちゃん大好きゲージ」で全国のお兄ちゃんをとりこにする小悪魔。
「私ね お料理だって お洗濯だって きっとできちゃうよ? でもえっちなのは… だぁーめっ(はーと)」なんてにっこり笑顔で言われた日にゃ、心臓の「妹大好きゲージ」を振り切って、多摩川を鼻血で染めながら、キュン死してしまうこと確実です。
しかし、注目キャラはあぁむたんたちだけじゃなく、筐体の外にいる「game mode」のメンバーの中にもいるのですよね〜♪
BL好きで姉好きで泥棒でお嬢様。どっからどうやってツッコンでいいのかわからないキャラが近江代なづなちゃん。財力にものを言わせ、偽あぁむたんや、耳っ娘あぁむたんを送り込んで来る、あぁむたんたちのライバルです。ライバルとはいえ、手強いところは何もなく、偽ああむたんや耳っ娘あぁむたんで作品の萌え度をさらに高めつつ、ストーリーのテンションを上げるひっかきまわし役です。
ひっかき回し役がなづなちゃんなら、盛り上げ役は山田聖青年。
金城聖夜の名でナンバーワンホストの座を極めながら、双子の白あぁむたんに萌えきってしまい、その座を捨てたという漢な経歴の持ち主。
その経歴を生かし、若きゲーマーたちのよき相談者となる一方、ホスト時代に培ったテクで、どんなシーンでもなしくずし的に盛り上げてしまうという、この作品になくてはならない便利キャラです。

Guide

まぁ、テーマがテーマなんで、多くを期待しちゃいけません。
あくまでお気楽に、缶チューハイでも呑みつつ、おこたやベッドでごろごろしながら気軽に楽しむのが合っている作品ですね。
好みの分かれる絵柄ではありますが、カバー絵でぴぴっと来る人なら買って損はないでしょう。

2008.3