ひまわり幼稚園物語 あいこでしょ!

(大井昌和/メディアワークス電撃コミックス・全7巻)

ノーマルモードへ

Story

浪人生・花鳥水明は予備校通いのためおばさんの家に下宿することになるが、途中で出会った女の子に連れられるまま辿りついたおばさんの家はなんと幼稚園。園児の歓待(襲撃?)を受けた水明はそのままなりゆきで保育士見習いのような立場に立たされる。
園児・アイコちゃんに思いっきりなつかれて、思わず心動く水明。そんな彼はじわじわと幼稚園での生活に馴染んでいくのだった・・・

Impression

ろりとか何だとか言うのが憚られるご時世ではありますが、それに怯む「3:31a.m.」ではありません。健全なろり萌えとして、ひまわり色のカバーも鮮烈なこの作品を紹介させていただきましょう。
年齢差14歳のピュア・ラブコメディというのが当作品のキャッチコピーですが、まぁ、一般的な恋愛要素を4歳のヒロインに望むのは無茶というもの(アイコちゃんの幼い独占欲とハルちゃんがからむ描写はそれなりに微笑ましいポイントではありますけどね)。コメディと言っても小ネタ連発というわけでも、テンポのいい掛け合いがあるわけでもなく、ムードでくすりとさせる感じ。
だけど、その物足りなさが逆に作品の味になっていて、なんともい〜んですよねー。
子供たちの、子供たちなりの一生懸命さと、それを見守る大人たちの優しさが活写される中に、優柔不断な水明のキャラクターがいい存在感を見せていて、動きの少ないエピソードなのに、どこか印象的。
月並みな表現ながら、オトナが何十年も前に失ってしまった純粋な気持ちと無邪気な笑顔が全てのページに溢れていて、彼らの、毒のない人間関係の織りなす模様がとても気持ちよく脳内に飛び込んで来ます。
4歳のヒロインと、18歳の主人公だから出来た優しいストーリー。健全なろり萌えとして、童心を呼び覚ましつつ楽しみたい作品です。

Aiko Natsuki

本作のヒロイン!!!
アイコこと夏木愛子ちゃん。職業、幼稚園児!!!年齢、4歳!!!「おにーちゃん」って呼んでくれるし!!!
当サイト紹介作品の、最年少ヒロイン記録、更新(多分)でーす。ぱちぱちぱちぱち。
元気活発!は当然ながら、ロリっ娘の標準装備。
子供っぽい独占欲を発揮し、水明にかまってかまって〜とまとわりつく甘えたっぷりがほのぼの感抜群で、幼女好きの魂をいい感じに刺激してくれますが、その一方でときおり、大人への憧れだったり、時に見せるきかん気だったり、さみしがりな横顔だったりが覗いて、ちっちゃな彼女が画面の中で大きな存在感を発揮しているんですね。
4歳なりのいっしょうけんめいがいじらしくてかわいらしい女の子。ただちっちゃい、ただかわいいだけじゃなく、ろり萌え諸兄ならずとも心打たれるピュアさを持った、印象的なヒロインです。

Charactor

で、本作の主人公が花鳥水明、19歳。ローニン。
巻き込まれ型というか、優柔不断な主人公も世の中いろいろいますが、これほど状況に流されまくる主人公も珍しいのでは。
アイコちゃんには振り回され、園児たちにはいいように遊ばれて、先生たちにはからかわれ、ハルちゃんには翻弄されて・・・こんな体たらくで志望校に合格したら、世の中間違ってるとしか思えませんね(笑)。
しかし、それでいて、誰に対しても誠実に向き合う姿勢が好ましく、誰からも慕われるような好青年でもあります。
アイコちゃんと水明を巡るライバル関係にあるのが、ハルちゃん先生。素朴・天然・巨乳、そして一生懸命と、フツーのマンガなら癒し系ヒロインとしての座を確固たるものにしてそうなキャラなんですが、このマンガでの癒し担当はアイコちゃんとその他園児たちなので、どーも存在感がビミョーな感じも。
しかし、水明とは、アイコちゃんとのベタベタとは違う、微妙で気になる距離感があったりして、気になるサブヒロインなのです。

Guide

繰り返しますが、ロリとか萌えとか年の差恋愛とかを期待すると、思いっきり肩すかしを食らいますので、ご注意を。
元気な園児たちを愛でつつ、ムード重視でぬくぬくしたい作品。割りと読者を選ばないタイプの作品だと思います。

2003.8