（大井昌和／メディアワークス電撃コミックス・全７巻）
浪人生・花鳥水明は予備校通いのためおばさんの家に下宿することになるが、途中で出会った女の子に連れられるまま辿りついたおばさんの家はなんと幼稚園。園児の歓待（襲撃？）を受けた水明はそのままなりゆきで保育士見習いのような立場に立たされる。
園児・アイコちゃんに思いっきりなつかれて、思わず心動く水明。そんな彼は受験勉強をよそに、じわじわと幼稚園での生活に馴染んでいくのだった・・・
コミックスの帯などでは「１４歳差のピュア・ラブストーリー」などと書かれていますが恋愛色は薄く、子供をダシにしたイロモノ作品という事もなくて、子供を主人公にした作品としては基本を踏まえた作りの、安心して読める作品です。
セリフに頼らず園児たちのしぐさや表情でストーリーを運んでいく構成が、まったりとしたムードの中にも動きを与え、また、物語が説明的にならずスムーズに読み進める事が出来る要因にもなっていて、このへんのシンプルさが実に心地よく感じられます。
幼稚園を舞台とした作品らしく、漂うムードはあくまでも明朗。その分メリハリには欠けますが、おしつけがましくなく読者の心を動かしてくるようなところがあって、非常に馴染みやすいほのぼの感を感じます。
見するとキワモノ的作品かとも思えるプロフィールを持った作品ですが、その実、読者に対して必要以上に媚びることなく、シンプルな読みやすさに徹した好作品と言えると思います。
２００３．８