ありす19th

(渡瀬悠宇/小学館少コミフラワーコミックス・全7巻)

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Story

瀬野ありすは内気な高校一年生。いつも陽気な姉・真由良の影に隠れるカタチで、憧れの先輩・若宮叶への気持ちも伝えられぬまま、真由良に先を越されてしまう。
「勇気がほしい・・・」
そう願うありすの前に、「お前はもう・・・持っているはずだ 『勇気』を扱えるはずだ」と告げる者が現れる。
ニョゼカと名乗った彼女−民族衣装のようなものに身を包んだ不思議な童女−は、ありすを他者の心の中の世界−インナーワールド−の戦いへと誘う。
有刺鉄線が張りめぐらされた、荒んだ深層心理の戦場で、ありすは『聖なる言葉(ローティス)』を使い、危機を脱する。その時、そこで出会ったもうひとりの『聖なる言葉の使い手』は−姉の恋人、若宮叶だった・・・

Impression

さーて!
渡瀬作品の紹介としては4作目となる、「ありす19th」の紹介をおっぱじめるといたしましょう!
え?なんで5巻まで刊行されたような段階で、いまさら紹介するんだって?
いやー、正直なところちょっとメッセージ性の強さが気になるような部分がありましたし(青臭いメッセージが鼻につくよーになったらそれはすでに「老境」ってやつですな・・・)、まぁ、ノリもいつもと同じだから、改めて紹介するまでもないかー、などという不遜な考え方が頭を占めていた時期もあったんですが。
すいません。
負けました。
黒髪ショートカット内気娘by渡瀬ブランド、瀬野ありすちゃんの愛らしさに負けました。ようするに、河内軍は岸和田軍に対して無条件降伏となったわけです。
人の心に巣くう邪な魂を浄化するありすたちの旅を追ううちに、私の中に巣くう黒髪ショートカット美少女への飽くなき情念が、大阪平野を席巻するまでに迸ってしまったんですねー。こうなってしまっては、私も無駄な抵抗をやめ、ありすちゃんの魅力を天下に伝える旅に出なくてはなりません。
さぁ、万国の黒髪ショートカット萌えの同志たちよ!ありすちゃんの笑顔、恥じらいの表情を、そして魅惑の入浴シーンや下着姿を一心に浴び、心の底まで浄化されるがよい!

Alice Seno

まさに黒髪天使!!
創業昭和六十三年、「思春期未満お断り」以来の渡瀬悠宇ファン業を営み、黒髪ショートカット爆萌サイトを営業してまもなく五年目に突入しようという私にとっては、黒髪ショート+渡瀬の夢のコラボレーション!
渡瀬キャラにしては珍しい、「守ってあげたい!抱きしめてあげたい!なでなでしてあげたい!」という男の保護欲三拍子をがらんごろんと鳴り響かせる、萌え度激高のヒロインです。
いじいじ引っ込み思案なあたりがなんともいじらしくて胸の奥を騒がせてくれますし、必至で一途な行動が胸をときめかせてくれますし、叶への一途な思いは胸を嫉妬で炭化するまで焦がしてくれます。さらにはその華奢な体型が、胸の奥に渦巻く欲望を刺激してくれる感じで・・・
もう、だめです。
あまりの魅力、あまりの萌え度。こうなったらただひたすらありすちゃんの行動、表情に、萌え、ときめき、シンクロしてページの彼方のインナーワールドをはらはらどきどきしながら旅せねばなりません。
黒髪ショートカット内気系萌えの諸兄に贈られた、新世紀最終兵器。太陽を焦がすまでに保護欲が煮えたぎっちゃう、ありすちゃんの魅力にはもうかないませんね!

Charactor

渡瀬キャラの魅力と言えば、ヒロインの魅力もさることながら、やはり少コミ読者のハートを熱くときめかせる美形イロモノ脇役陣を忘れるわけにはいきません。
この作品はシリアス度が高いので、そーゆーキャラは少ないんですが、しっかりいました、今回のベストワン。
フレイ・ウィルハーゼン。182センチの長身。北欧系の、色素が薄く、整った顔だち。あらゆるローティスを操り、ありすたちを危難から救う聖導士。
なぜか三つ編み。なぜかジャム好き。とっても女好き。なぜかすぐ脱ぐ。
上段と下段のギャップがとても魅力的で、いい味出してるギャグ担当サブキャラです。こいつさえいなければ良くも悪くももっとシリアスな作品になってると思うんですが、それこそがフレイの存在感なんでしょうね。
もひとり、というかもう一匹、ニョゼカ。民族衣装を纏ったうさみみ童女モード、うさぎモード、うさぎのぬいぐるみモードという三形態に変化する味のあるマスコットキャラ。こーいうキャラがいると、ファンタジーっぽく、そしてにぎやかになっていいですよね。

Guide

「ふしぎ遊戯」「妖しのセレス」と続く、渡瀬ファンタジーの後継者的作品。前2作のファンなら、間違いなくはまれるでしょう。
設定やキャラクターバランスがシンプルなので、ファンタジーの苦手な方でも入りやすいと思いますが、序盤の雰囲気が重目なので、その辺で好みが分かれるかなという気もします。ヒロイン・ありすの内面描写に重点を置いた作品でもあり、どこまで彼女とシンクロ出来るかが勝負の分かれ目ですね。

2002.10