(博/芳文社まんがタイムKRコミックス・全2巻)
高校1年生のゆうは、父が営む熱帯魚店の店番をしているとき、快活な少年・よしあきと出会う。
一方、よしあきの幼なじみ・さおりは、高校に入ったら同性の友達を作りたいと思っていて……
「アクアリウム」を軸に、少女たちの友情とすれ違い、三角関係を描いた、みずみずしくも繊細なストーリー四コマ。
なんとも繊細、なんとも透明。
う〜ん、この世界観が実にたまりませんね〜。
黒髪純粋少女・三島ゆうちゃんと、ツインテツンデレ少女・吉岡さおりちゃんに萌える愉悦もあるんですが。
熱帯魚好きとしてはタイミングよく、さりげなく挿入されるアクアリウム関係の小ネタににやっとしたりもするんですが。
この作品を読んでいると、ナチュラルでちょっと懐かしいような世界観そのものに、そして甘酸っぱくてたまらない心理描写に身悶えしちゃって、たまらなくなってしまうんですよね〜。
なんつーか、現役スクールボーイスクールガールな諸君がそれなりに共感しつつ、そんな時代を幾星霜の彼方に置き忘れてきてしまったオジサンオバサンは遠い目をしつつ、それぞれに胸がくすぐったくなってたまらなくなる、青春のキラキラ感満載の佳作なのですね。
熱帯魚に関するうんちくも、押しつけがましくなく、しかししっかり作品に奥行きを与えられるように散りばめられていて、熱帯魚と触れ合う楽しさが画面からにじみ出ていて……信州から大阪に引っ越したときに、飼っていたコリドラスを手放してしまったた私としましては、またコリドラスを飼いたくてたまらなくなっちゃったりもするんですよね〜。
水草水槽のような、透明な緑色の空気が感じられる、質感のしっかりした佳作。
グリーンエイジの雰囲気がぎゅぎゅっと詰まった、しっとりとしていて色鮮やかな作品です。
熱帯魚大好きな黒髪純粋少女、それが本編のヒロイン・三島ゆうちゃんです。
お父さんが営む熱帯魚店を手伝っていて、子供の頃から熱帯魚になれ親しんできた、箱入り純粋培養のアクアリウム少女。
たいやきが食べられるところを見るだけで涙ぐんじゃうという、見てるこっちがちょっと心配になっちゃうくらいにお魚好きの女のコなのです。
普段は控えめな純朴少女なのに、熱帯魚のことになると猪突猛進、とばかりに行動力を発揮する、そのギャップがなんとも微笑ましくて、あぶなっかしくて、かわいいんですよね〜。
飾り気のない黒髪ロングに、ほっこり控えめな笑顔も萌え度高し!
その笑顔を見ているだけで、心の底から癒されていく、透き通った清水のような美少女です。
ツインテールがトレードマークのとびっきり美少女。
容姿端麗、成績優秀、スポーツも万能で、ピアノも弾ける、そんなパーフェクトガールなのです。
だけどさっぱりとした気性で幼いころから男のコと遊んでいることが多く、加えて根っからのツンデレ気質。
従って、なかなか同性の友達が出来ないのが悩みという、なんとも難儀な女のコです。
スナオで一直線なゆうちゃんに対し、生真面目なさおりちゃんは前に進んだり、だけどすぐに立ち止まったり。その揺れ動く心がいかにもグリーンエイジ! って感じで、ハラハラしながら見守りたくなっちゃうんですよね。
戸惑いながら、迷いながら、時間をかけながら、それでも一段一段階段を上っていくように成長していき、世界を広げていく女のコ。
心の底から応援したくなる、そんな美少女です。
ゆうちゃんとさおりちゃん、ふたりの一生懸命さに頬が緩んでしまう、そんなタイプの作品。
あざとく萌え狙いに走ることもなく、笑いを取る場面も少ない、雰囲気重視の作品ですね。
カヴァーの絵柄そのもののムードがある作品で、繊細で毒のない世界観が好きな方にはかなりお勧めできます。
2011.7