美!!

(織田綺/小学館少コミフラワーコミックス・全6巻)

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Story

瑞玉高校の新入生、天然系美少女・竹林真はなぜか美形を見ると吐き気がする程、イケメンが苦手。
そんな彼女は部活勧誘から逃れようとして奥庭に足を踏み入れ、ワイルド系の美形少年・美堂睦と知り合ってしまう。
さらにその兄でやはり美形の美堂陽には「ホレたっ」と気に入られてしまい、あまつさえ陽の主宰する「美研究部」という謎な部活に入る羽目に。
逃れられない美の蟻地獄に囚われた真は・・・どーなる?

Impression

「美!!」と書いて、「ビューティ」と読ませるらしいです、このタイトル。
・・・・・・無茶言うな。
てなわけで、久々の織田綺作品の紹介です。
「美!!」というタイトルそのままに、女のコにも男のコにも美麗キャラを揃えたこの作品、まさにビジュアルでぐいぐい楽しめる、「見栄えで勝負!」な感じになっているのがうれしいところ。
それはキャラクターのみならず、風景のひとつひとつ、リリカルなモノローグの文章までが美麗で、読んで楽しむというより、見て楽しむ、そんな織田式リリシズム溢れるマンガに仕上がっているんですね。
それだけに、フツーの少女マンガならこってり書き込まれるであろう、真のコンプレックスと過去の思い出がクロスするエピソードなんかもあっさり済まされてたりしまして、受ける印象はとってもライト。
しかし、陽の軽い性格もあってか、「軽い、軽すぎる、なんだろうこの軽さは・・・」などとうなりつつ、きっちりハマっちゃえるのがこの作品のすごいところ。
このライトなムードに乗っかって、「真ちゃんのビキニ、萌え〜〜〜〜〜」とかいいつつ、ルックス重視でさくさく読んでいるのが似合っている作品です。サブタイトルには「グッドルッキンOK?」というコピーがあるんですが、まさに「OK!」

Makoto Takebayashi

某マンガの某ケイン・クレバート氏ふうに「エレガント ビューティフル プリティ キュートの4つからすると」キュートな感じの女のコ。
肩まで伸びた外はね気味の髪と、宝石のような大きな瞳、そしてぽや〜んとした性格がなんともキュートなヒロインです。
いかにも純真無垢〜って感じで、どんな色にも染めてしまえそうなところが見ていてぞくぞくしちゃいますね〜。
それでいてその実、逆にその純真さで、無意識のうちにオトコの下心を掌の上で転がしてしまうようなところがあって、そこがまたたまりません。
純真な子を思いのままに・・・というのもオトコのヨクボーではありますけど、純真な子にころりと参って無垢に甘えてしまいたいというのもオトコのガンボーとしてあるわけでして、そんなガンボーを見事に体現してくれるような女のコですね。
・・・って、こんなことを言うようになったらもう老境だという説もありますが。

Charactor

本作のヒーローがむっち先輩こと、美堂睦(偽名)。
シャイでぶっきらぼうな感じのヒーローですが、その実純情少年。こんなアンバランスが女性読者に受けるのかもしれませんね。男性読者からすると、そのぶっきらぼうさと純情さのアンバランスがいい笑いのネタになったりもするわけですが。
でも、そんな睦が真のために、慣れない甘い言葉を囁いちゃったりするシーンは、なんともこそばゆい感じでなかなかグッド。恋する男のコ〜って感じで、そのむずがゆさにシンクロしちゃえたりもします。
その兄が美研部長の美堂陽。さわやか笑顔のお兄ちゃんなんですが、性格はビューティーなまでに腹黒。このアンバランスがステキです。
確信犯として真と睦の仲をひっかき回し、その奇矯な言動で学内に迷惑がられながら、「迷惑がってもだえてる人の姿って 美だよね」と笑顔で言ってのけちゃう、歪んだ性格には親近感を感じてしまいますね〜。この変人っぷりがたまりません。

Guide

ビジュアル重視、流れ重視の作品なので、少女マンガらしいストーリー性を期待すると、肩すかしを食うかも。
真、むっち、陽、3人のクセのあるキャラを楽しみつつ、真ちゃんに萌え萌えする方向で楽しみましょう。

2005.2