(ハロルド作石/講談社コミックスヤンマガ・全13巻)
無名校からパ・リーグのお荷物球団・京浜アスレチックスに入団した毒島大広は、あまりにも荒削りかつ粗暴だが、100マイルの剛球を投げる超弩級左腕。首脳陣との軋轢や挫折を繰り返しながらも、毒島はストッパーとして、チームを優勝争いに導いていく。
いやぁ〜こてこてでんなあ。
と、思わず関西人モードになってしまいましたが、とにかくこの作品の魅力はこてこてのディテール。個人的にはディテールで作品に厚みをつける、というタイプのモノはあまり好きじゃないんですが、これだけヨッパライのツボにはまってくれれば、3回7失点KOという感じだす。
当初は毒島のキレたキャラクターだけでテンションを保っているような面がありますが、だんだん個性の強いキャラクターにもまれるうちに、毒島のとんがった部分が丸くなり、その一方でテンションが上がっていく感じ。この辺の感じが絶妙で、手応えのある作品になってます。
作者が自分の好きだった野球選手をモデルにキャラクターを作り上げたというだけあって、サブキャラクターたちがコミック的な突拍子もないキャラクターではなく、
「ああ、いるいる、こんな野球選手」
「そーだよなー、×野って肝腎の時打たねーでワケわからん時に貴重な一発打ったりするんだよなー」
という感じで納得出来るのが○。どうでもいーが×野を△崎とか□村とかにしてもあてはまるな、これ。
もちろん作品単体として面白く、魅力のある作品ですが、はっきり言って、野球の好きな人と、「別に・・・」というヒトでは、面白さが全然違うと思います。
文春文庫ビジュアル版の「プロ野球選手列伝シリーズ」など脇において読むと味わい深いかも。
1999.9