(春田なな/集英社りぼんマスコットコミックス・全4巻)
恋に憧れる女子高生・桜井紗雪は友達に誘われて行った海で、出会った男性に一目惚れする。
相手が同じ春英高校にいると知った紗雪は、登校日に校内を捜し回るが、どの学年にも想い人は見つからない。
それもそのはず。
海で出会った男性は春英高校の家庭科教師・萩原克弥だった。
一度は「ありえない」と思った紗雪だったが……。
「また教師×生徒ものの少女マンガ買ったの!?」
と、ヨメさんに呆れられましたが。
悪いか。
てなわけで春田ななさんの第3長篇「チョコレートコスモス」を大紹介です。
かわいい女のコと、生き生きとした学生生活の描写を得意とする春田さんの作品らしく、甘く切なくピュアな恋を、高校生活の華やかさでコーティングした、どこから読んでも楽しくて、だけどドキドキ出来る少女マンガ。
紗雪ちゃんは妄想してばっかだし、萩原先生はチャラチャラしてるし、悠士は空回ってるし、友達はみんなバカだしで、始終くすくす笑いながら読んでしまうんですが、それでもみんな今を一生懸命生きているのが分かるから、あー、この年頃の私もこんな感じだったよなー、と思えるから、笑うと同時に各キャラにいちいちシンクロして胸キュン出来てしまうんですよね〜。
まさに、恋に恋する季節を鮮やかに活写した、イキのいいラブコメディなのです。
胸キュンな恋を求めて高校に入学した夢みる乙女。
それが本編の主人公・桜井紗雪ちゃんなんですが。
いつも何かを睨んでるような目つきで、脚組んで舌打ちしてみせたりして、ピュアな恋などそのオーラで成層圏まで吹き飛ばしてしまいそうなワイルドなルックスの持ち主。
萌え系な男のコ向けラブコメではもちろん、少女マンガでもなかなかお目にかかれないようなキャラクターですが、う〜ん、そのルックスと乙女心のギャップがなんとも萌えますよね〜。
恋に恋する紗雪ちゃんも、ちょっとワイルドでざっくばらんな紗雪ちゃんも、どっちも本物の紗雪ちゃん。
そのバランスの取れた二面性がいかにもナイーヴな思春期まっただなかの女のコ! という感じがしていいんですよね〜。
だから、ただかわいいだけのヒロインより、紗雪ちゃんの方が女のコらしいと思えてしまうのです。
垢抜けた絵柄と、はきはきしたキャラクター描写で、とっつきやすい印象がありますね。
とはいえやはり年少向けの少女マンガ。対象年齢から外れるにしたがって、ついていけなくなる可能性は高くなりそうです。
2008.1