えるくえすと!〜勇者エルヴィーラは現実世界に転移しました〜

(むらさき*/芳文社まんがタイムKRコミックス・1巻〜)

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Story

ゲーム屋さんでアルバイトする大学生・ましろがお店のゲームを整理中、タイトルのない真っ黒なディスクを起動させると、そこから金髪の少女が現れる。
ゲームの世界から転移してきたその少女、勇者・エルヴィーラは魔法の力で元の世界に帰ろうとするが、転移と同時に覚えた魔法も積み上げたレベルも喪失しており、元の世界に帰ることが出来ない。やがてパーティの仲間・僧侶のルチアや、モンスターまでもが現実世界に転移してきて……。
エルヴィーラらのパーティは現実世界で経験値を積み上げ、元の世界に帰ることが出来るのか?

Impression

いやぁ、かわいいかわいいかわいいかわいい。
「かわいいから許すッ」の見本みたいな作品ですが、金髪ツインテロリっ娘の勇者・エルヴィーラが、ふわっふわの黒髪にナース帽の僧侶・ルチアが、朴訥で家庭的で巨乳な村娘・セリがひたすらかわいらしく、そんな3人がゲーム世界から現実世界に転移してくる、その圧倒的ファンタジー感、非現実感にまずころりとやられちゃいますね〜。いやぁ、こんな現実世界が現実にあるなら、現実世界ってのも悪くないですね〜。むしろ最高ですね〜。……って自分でも何言ってんだかわからなくなってきましたが。
ゲーム世界の勇者やモンスターが現実世界に転移、というとハリウッドばりのハードなSFにも持ち込めそうなシチュエーションですが、そこは安心安定のきららブランド、見た目通りのほんわかしたかわいい世界観を貫いていて、そこがうれしいところ。
カヴァーデザインがゲームのパッケージ風だったり、キャラ説明もゲームを意識していたり、あちこち2Dドット絵の懐かしきRPGゲームを意識したデザインになっているのが、作品のテーマを徹底していてこのへんにもニヤリとしてしまいます。
読んでいて、ゲームを攻略するようなわくわく感に包まれる楽しい作品。
これからどんな方向に世界が広がっていくのか、楽しみな新作です。

Elvira

本編のヒロインが、ゲームの世界から現実世界に転移してきたエルこと勇者・エルヴィーラ
見た目は金髪ツインテールのロリっ娘ですが、魔女を倒し、世界を救うために立ち上がった、世界に名を轟かせる勇者様。額の宝珠は選ばれし勇者の証、魔法装飾屋で祝福を受けた伝統衣装のマントを翻す凛々しい勇者様なんですがいかんせん、現実世界に転移してきたときにレベルがリセットされ、魔法もぜんぶ失われてしまったんですね〜。
それでもめげることなく、勇者としての誇りを失わないのが勇者の勇者たる所以。
お店のお手伝いであったり、ゲームであったり、お買い物であったり、海水浴であったり、現実世界でのいろいろなことに生真面目に取り組む姿は微笑ましくて、現実世界に転移してきたモンスターと戦う時は勇者らしい凛々しさを見せてくれる、なんとも魅力的なキャラクターなのです。
自分に厳しいのにおいしいモノを目にすると自分に甘くなっちゃうところはちょっとしたチャームポイント。
ヒロインらしい魅力にあふれた、成長途上の勇者様です。

Charactor

もうひとりのヒロイン格が、ゲーム屋さんでアルバイトする大学生の観月ましろちゃん。
ゲーム屋さんでバイトするほどゲームが大好きで、勇者様に憧れる女のコです。エルたちに現実世界での過ごし方を導いてくれるナヴィゲーターでもある女のコ。現実世界の常識人として、作品に緩急をつけてくれる存在です。
ふわっふわの黒髪がかわいい僧侶がルチア。真面目な女のコなんですが、ドジっ子属性の持ち主で肝心の時に魔術の詠唱を噛んでしまうというぽんこつ僧侶なんですね〜。少女マンガに憧れたり、女のコらしい洋服に憧れたり、エルたちのパーティの中でも、現実世界への順応度は一番高いような気がします。
気は優しくて力持ち、という言葉がぴったりなのが、村娘のセリ。勇者様パーティの一員ではありませんが、ガチャ台を片手で持ち上げてしまう力持ちですし、料理は上手ですし、なんなら毒薬も作れちゃいますし、ついでに胸もおっきいですし、なんともハイスペックな女のコ。朴訥な方言がかわいらしく、癒し感高いところもポイントですね。
当作品の舞台となる「nyan games」の店長が楪こはる店長。コミックス1巻のカヴァーでひつじのぬいぐるみ抱いて寝ているというなんともアヴァンギャルドな店長さんなんですが、それでいてエルたちがゲーム世界から転生してきたという状況をいちばん楽しみつつも、いちばん冷静に状況を見ているオトナのお姉さん。マジメっコの揃った作品の中でいい自由人である一方、オトナらしい包容力も併せ持っていて、この作品のいいアクセル役になっています。

Guide

典型的な「きらら四コマ」といった感じの作品ですね。コンシューマー機のRPGを意識したような小ネタが多くみられるので、そのテのゲームが好きな方ならより楽しめるのかも。カヴァー裏を見てニヤリとしてしまう方なら、レジに持ってっちゃって問題ないでしょう。

Official Web

2022.9