ふぁんきーサーバント

(桜沢鈴/竹書房バンブーコミックス・全2巻)

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Story

「地味」が業界標準の地方公務員。
しかし、某市富田区戸籍係にその常識を打ち破りド派手に光り輝く公務員がいた!
伊勢崎陽子。美貌をゴージャスなファッションに包んだ彼女は、寝食を削っても、それが仕事に何の貢献もしていなくても、オシャレのために命を賭け、富田区役所に嵐を呼ぶのだった!

Impression

地方公務員と言えば、まさに地味の代名詞。
いや、地方公務員でも学校の教師とか、警察官、消防士ならマンガのネタにもなるんですが、区役所戸籍課の職員ともなれば、地味もいいとこ。
しかし。もし。そんな地方公務員がド派手!!!!だったら?
そんな他愛のない設定でど真ん中の勝負を挑んだ四コマ、それがこの「ふぁんきーサーバント」です。
ど真ん中でふぁんきーなこの作品、どのへんがそうかといいますと、実はネタのパターンが結構決まってるんですよね。名前のあるレギュラーキャラは3人のみ、それもほとんど陽子ひとりか陽子×米田のかけあいで成立しているネタばかりで、毎回毎回「陽子のおしゃれは無意味だ」とか、そーゆーオチばかり。
でありながら、微妙にひねりを効かせた同系統のネタの連発がボディブローのように効いて来て、陽子や米田の空回りっ振りが、百年一日の如きかけあいが、じわじわと面白く感じられて、意外なほど飽きないのです。
キャラクターはゴージャスに、構成はシンプルに、そんな感じで勝負して来た注目作です。

Yoko Isezaki

普段は黒髪ろり萌え〜とか、純朴和装少女萌え〜とか言ってばかりなのに、時折思い出したようにゴージャス系美女を紹介してみたりする、それが「3:31a.m.」。
うーん、無節操ですね。えへっ。
てなわけで某市富田区役所戸籍係、きんきんきらきらに輝く公僕・伊勢崎陽子さんの紹介です。
容姿はモデル並み、ブランド品をこよなく愛する、遅れて来たゴージャスレディ。
しかし輝くのは外見のみならず、仕事はてきぱきとこなし、博愛精神と地元愛も身につけた、スーパー地方公務員なのです。
が。
オシャレに夢中になるあまり、それ以外(食とか)への投資がいっそ気持ちいいほどに削られていたり、美への探究心が仕事に一切役立っていなかったり、どこかズレてる印象があって微笑ましいんですね。
ゴージャスなんだけど、微妙に中途半端で空回りしているところが逆にインパクトになっている、そんな感じ。
こんな公務員がホントにいたら、区役所に行くのが今までの倍は楽しみになりそうですね。

Charactor

ド派手個性派ヒロイン・陽子を際立たせるためには、やはり対照的なカラーを持つ相方が不可欠。
ということで、陽子と絶妙のコンビを組むのが、同じ戸籍係の米田良一
容姿が地味、服装が地味、性格が地味、名前が地味、仕事が地味と、地味の五重苦な辺りが陽子といいコントラストになっています。
刺身にツマが必要なように、絵画に額縁が不可欠なように、陽子を引き立たせるために不可欠なキャラクター。
・・・っつーか、それ以外に紹介のしようがないくらい、地味なんですが(笑)。
登場人物紹介のページで「この方こそ『ふぁんきーサーバント』!?」と評されているのが、オールバックに口ヒゲも怪しげな神田係長
戸籍簿の行間からさまざまな人間ドラマを読み取り、思いを馳せるなんだかドリーミンなカカリチョー。その妄想力とあふれる人生経験はなんともミステリアス。確かに、陽子よりも印象的なキャラクターかもしれません。

Guide

シンプルな構造で読みやすい作品です。キャラクターも四コマにしては少ないですし。
大体ハマってくるのは中盤以降になると思いますので、気軽に読み進めながらキャラになじんで行くといいでしょう。
密かに楽しみたいのは、毎回毎回炸裂する陽子のオシャレ。すっきり系の美貌とともに、このタイプのキャラが好きな方は結構悩殺されるのでは。

2003.8