(きゆづきさとこ/芳文社まんがタイムKRコミックス・全7巻)
高校の芸術科に所属する1年生、キサラギ・キョージュ・トモカネ・ナミコ・ノダミキが繰り広げる、アートでポップな学園四コマ。
性格も美術的指向もまったく違う5人が繰り広げる学園生活は、素描で101匹猫さん大行進、居残り授業で黒いポスカラがめぐりあい、ニーズに逆らえ乳酸飲料、超小型核ゆーごーエンジンで出力300万馬力、最大速度M3.8! と、カラフルで楽しいことばかり。
止まらない彼女たちの止まらない日常を描く。
「GA」。
アルファベット2文字のタイトルだけではなんのこっちゃらさっぱり分かりませんが、添えられたサブタイトルには「芸術科アートデザインクラス」の文字が燦然ときらめいています。
芸術! アート! デザイン!
美ヶ原高原美術館よりゲーマーズ長野店を愛し、中学校の美術科の成績は常に2(ちなみに5段階評価)、このサイトのデザインを「赤い!」「見にくい!」と酷評された、芸術ともアートともデザインとも、太平洋の東岸と西岸ほども縁遠い私が手に取るには非常に敷居が高い文字の羅列ですが、臆せず手に取ればそこには。
萌え〜♪
面白〜♪
という、萌え族にもとってもわかりやすい、アーティスティックな桃源郷が広がっていたのでした。
基本は女のコ5人が繰り広げる、賑々しい学園の日常。
しかしそこにタイトル通り、芸術関係の要素が加わって、画材や色相、あるいは「アイドマの法則」「トロンプ・ルイユ」という用語が巧みにストーリーに折り込まれ、読みながら、そして萌えながら美術の基礎がアタマに入ってしまうという、なかなか侮りがたい作品になっているのです。
もちろん、5人の少女が織りなす日常の賑やかさとぬくぬく感も、萌え系四コマとして水準以上。
楽しい日常の中で知識が身についていく、一粒で二度おいしい、アーモンドグリコな四コマなのです。
色にたとえるならビビッドなイエロー、ちっさな身体に才気が溢れかえっちゃってる元気少女がノダミキこと野田ミキちゃん。ナミコさんにしばしば「姫」と呼ばれるわがままっぷりでメンバーを動かす、この作品の台風の目ですね。
色にたとえるなら深いグリーン、ノダミキと対極をなすクールなツッコミ役が、野崎ナミコさん。セピア色の髪と、白いブラウスに包んだオトナなボディが魅力の、この作品の良心です。目立つ立ち位置にはいませんが、それでいてきっちり存在感を示してくれています。
一応本編のメイン格となるのが、たとえるならパステル調のアイボリー、ポニーテール眼鏡っ娘の山口如月ちゃん。なにごとにも一生懸命なまじめっコですが、天然ゆえにイマイチ空回りしちゃってるところがかわいいですね。5人の中に入ると地味ですが、ナミコさんと並ぶこの作品の良心。そしてその天然っぷりで、この作品の和み要素を、一手に引き受けてくれています。
ノダミキとともにこの作品のパワーユニットとなるのがソリッドレッドのボーイッシュ少女・トモカネちゃん。なにごともイキオイと体力で解決するわかりやすさが魅力ですね。単純故に、みんなにいいようにいじられているのもポイントです。
独特の存在感があるのは黒がテーマカラーの黒髪少女・大道雅ちゃん。みんなから「キョージュ」と呼ばれている通り、常識的で寡黙な、思索的雰囲気を漂わせる女のコなんですが、制服が四次元だったり、鳥と意思疎通が出来たりと、どうにも言動がミステリアス。個性派揃いのGAメンバーの中でも、とびっきりの異彩を放っています。
キャラの魅力とネタのキレ双方で勝負する作品で、以前紹介した「ふおんコネクト!」と並び、「あずまんが大王」「トリコロ」の系譜に繋がる作品だと思います。「ふおん−」よりはネタにクセがなく、キャラ萌え寄りに振った作品という感じですね。
美術ネタが多く、人によってはとっつきにくいと思うかもしれません。
2008.3