(きゆづきさとこ/芳文社まんがタイムKRコミックス・全7巻)
高校の芸術科に所属する1年生、キサラギ・キョージュ・トモカネ・ナミコ・ノダミキが繰り広げる、アートでポップな学園四コマ。
性格も美術的指向もまったく違う5人が繰り広げる学園生活は、素描で101匹猫さん大行進、居残り授業で黒いポスカラがめぐりあい、ニーズに逆らえ乳酸飲料、超小型核ゆーごーエンジンで出力300万馬力、最大速度M3.8! と、カラフルで楽しいことばかり。
止まらない彼女たちの止まらない日常を描く。
コミケの芳文社ブースで頒布されていた紙袋に描かれていたり、同社のCMに登場したりしている看板作品だけあって、クオリティが高いですね。
ネタのひとつひとつが水準を満たしている上に、ネタ同士の繋がりも綿密に考えられており、かわいらしさ、和み感だけを売りにする平均的な萌え四コマとは一線を画した面白さが感じられます。
ノダミキとトモカネというふたつのエンジンを備えている上に、天然キャラのキサラギ、不思議キャラのキョージュが飛び道具となって、どこからでも笑いが取れるのが強みですね。
さらに「芸術科アートデザインクラス」というテーマは表面的なところに留まらず、多くのエピソードに美術用語や美術科学生の日常が織り込まれており、美術にかかわりのある人はキャラクターにシンクロして楽しめ、そうでない人はネタを通して知的好奇心を刺激されるようになっているのも、この作品の大きな魅力。
作者は2巻のあとがきで「読むのに無駄に力を消費する四コマ」と書いていますが、その表現がいい意味で的を射ている、内容の充実した作品です。
2008.3