ガラスの向こうに花束を

(水沢めぐみ/集英社りぼんマスコットコミックス)

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Story

理央は人気バンド「DASH!」の大ファン。念願かなって、コンサート後の楽屋訪問のチケットが当たるが、かんじんのその時、理央は花束を渡すことがやっとで、あこがれのサトルに何も話しかけることが出来ず、後悔だけが心に残ってしまう・・・
表題作をはじめ、少女達の心のターニングポイントを描いた短編3作を収録。

Impression

水沢さんの作品で少女マンガの世界に踏み入れてしまったという人、多いみたいですね〜。
かく言う私も以前紹介した「星の瞳のシルエット」と並んで、水沢さんの「ポニーテール白書」を読んで道を外した人間なんですよね〜(笑)。
デビュー作以降ずっと、変わらぬ絵柄、変わらぬノリで少女の成長を描き続けた水沢さんの短編集がこれ。うんうん、これが少女マンガですよ!という感じの、ほんわかしてちょっと切ないエピソードが満載です。
アイドルへの恋、幼なじみへの想い、秘められた恋。いずれも胸がきゅうっとなるようなやるせないシチュエーションが、柔らかく明るいタッチで描かれていて、心の中がほわっとほだされていくような感じがいいんですよね。作品に流れる「優しさ」が、とてもいい感じなのです。
さあ、あなたも一冊手にとって、道を外してみませんか?

Hiro Tateoka

3作の主人公、どれもかわいらしくて、ひたむきで、実に好み!なんですが、ぺろっと舌を出した表情がかわいい比呂ちゃんをここでは推印。
妹の恋人を好きになってしまった、その想いを隠すための笑顔がかわいくて、でもせつなくて、いいですねー。大好きな凌くんのひとつひとつの言葉にどきどきしたり、気づくと視線で追っていたり、こっそり凌くんと同じ時計をしてたりして、そんなところが「恋する女の子!」ですよね。

Episode&Charactor

恋する女は綺麗さ〜♪と歌ったのはかのヒロミ・ゴーでしたが、う〜ん、どのキャラクターも「今恋してる!」っていう感じで、かわいいですよねー。
ガラスの向こうに花束を」はアイドルに対する一途な思いを描いた作品。大好きなサトルくんのためにひたむきになる理央ちゃん、いいですねー。元アイドラーとして、なーんとなくそういう気分、わかるよなぁ、といいますか(汗)。他のヒトから見たら下らないこと、些細なことでも瞳を輝かせることの純粋さ、それはいつかきっと届くはず。ファイトっ、て声をかけてあげたクなりますね。うんうん。
南ちゃんの夏休み」は水沢さんらしいスローテンポな作品で、南ちゃんと幼なじみのたっくんが、少しずつ成長する姿を、11歳から15歳まで、ゆっくりと追っていきます。いつもたっくんを追いかける南ちゃんの視線がときに愛らしく、時に痛々しくて○。水沢さんらしい佳作です。

Guide

正直言ってオーソドックスな作品ですし、ずばっと受けるような設定面の切れ、ビジュアル的な迫力は期待出きません。
キャラクターがしっかりしているので、キャラクターに入り込んで、しっかり読み込むといいでしょう。年長向け作品にはない穏やかさ、やさしさを味わいたい作品です。

2000.9