(桃森ミヨシ/集英社マーガレットコミックス・全10巻)
小学校から女子校の純粋培養少女・チロはある日、駅のホームで男子高生・ハシモトに告白される。
それをきっかけにハシモトとつきあいはじめるチロだったが、慣れない男のコとのつきあいは、うれしさの反面、うまくいかないことの連続で……
多感な少女の心理をていねいに描いた純度100パーセントの学園ロマンス。
「ハツカレ」というタイトルからして、初々しさが炸裂している作品なわけですが。
ジャケットの方も破壊力バツグンでして、ウェーブ黒髪セーラー服少女が、見下ろし視点で、頬を赤く染めた表情が、さらにソフトフォーカスで! という、初恋感覚満開のジャケットになっているんですね。
学園恋愛少女マンガが大好きな私としましては、これはもう間違いなく、ツボ。
思わずジャケット買いしてしまいました♪
ナカミの方も期待に違わず、初々しさがフルスロットル。
あまりの初々しさに、「くはぁっ、萌え〜〜っ」と叫びつつ床を転げ回り、サッシを突き抜けて3階のベランダから錐揉み急落下してしまうほどの破壊力。
誰もが通過する「初恋」というシーズンを、ワンシーンワンシーン丁寧に描いていて、チロちゃんのドキドキや恥ずかしさがダイレクトに伝わってくる感じがいいですね。
キャラクターみんなが関西弁を使っているところも、等身大の初恋を描いたこの作品にはマッチしていて、河内小阪や鴫野の駅(←どこ?)を降りればこんな恋が溢れている、そんな気にさせられてしまいます。
ああ、たまらんわ〜〜〜
クセっ毛の黒髪にセーラー服、ベタベタの関西弁、いかにも等身大のヒロインという感じがしてかわいいですね〜。
ちょっと照れ屋で引っ込み思案、すぐ頬が赤く染まるところなんかウブさ満点で乙女感が炸裂しまくっていて……う〜ん、萌えますねぇ。
等身大の高校生なんて書きましたが、ウチの近所の高校の女生徒が自転車をがちゃがちゃ漕ぎながらタバコふかしてたりするのを見ると、
「違ぁ−−−−う! ホンマの女子高生ちぅんは、チロちゃんみたいなめっちゃ清純な女のコのコトを言うんやあ〜〜〜!!」
と叫びながら飛び蹴りを食らわし、そのまま説教を浴びせたくなるわけで、これはむしろ「理想の女子高生」というべきかも。
乙女の憧れと男の保護欲をぎゅーっと濃縮したような清純派。表情のひとつひとつ、モノローグのひとつひとつに心ときめいてしまいます。
チロの初彼・ハシモトくんは、少女マンガのヒーローではありますが、王子様という感じでも、好青年という感じでもなく、ちょっとシャイなフツーの男のコ。
でも、そのフツーっぽさが、チロちゃんの相手として、よく似合ってるように感じられます。
チロちゃんの親友・ちゃーちゃんはチロちゃんとは対照的に活発な女のコ。お金持ちのお嬢様なはずなんですが、そうは思わせない気さくさがチロちゃんと好対照でいいですね。
ハシモトくんのライバルがイブシ。
燻し銀を思わせるかっこいい名前ですが、その実、子供から少年になる手前で戸惑っているような男のコ。
チロちゃんをう○こ呼ばわりするところがすごいですね。ヒロインをう○こ呼ばわりするイブシがすごいのか、う○こ呼ばわりされるチロちゃんがすごいのか……
ヒロインの性格そのままに、内向的なイメージのある作品ですね。絵柄もノリもちょっと古くさく、現役の少女マンガ読者よりも、少女をとっくに卒業したヒトがノスタルジア込みで楽しむ作品、という印象があります。絵柄、ノリともに少女マンガ初心者の男性にはちょっとキツそうですね。
2005.12