(桃森ミヨシ/集英社マーガレットコミックス・全10巻)
小学校から女子校の純粋培養少女・チロはある日、駅のホームで男子高生・ハシモトに告白される。
それをきっかけにハシモトとつきあいはじめるチロだったが、慣れない男のコとのつきあいは、うれしさの反面、うまくいかないことの連続で……
多感な少女の心理をていねいに描いた純度100パーセントの学園ロマンス。
大阪を舞台に、女子高生の恋愛を描いた学園ロマンスです。
話のテンポはスロー、モノローグを多用しているため活発さに欠け、キャラにしても絵柄にしても、今風の華やかさがないので、「花とゆめ」「少女コミック」あたりのキャッチーな作品と比べると泥臭さを感じる点は否めませんが、少女の初恋を描くというこの作品のテーマにとっては、それらのファクターは丁寧さに繋がり、プラスに寄与しているように見受けられます。
ヒロイン・チロの視点でハシモトくんを映し、関西弁のモノローグを重ねるシーンが多く見受けられますが、このへんにヒロインの戸惑いを直に感じられるようなリアルさがあり、この作品ならではの色になっています。
個人的には80年代のアイドルポップスを久々に聴いたような、なつかしさと安心感、気恥ずかしさが感じられて、ちょっとうれしくなる作品ですね。
2005.12