ハヤテのごとく!

(畑健二郎/小学館少年サンデーコミックス・全52巻)

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Story

借金苦から両親に棄てられ、1億5千万円の借金を背負わされた少年・綾崎ハヤテは自暴自棄になり、身代金を目的に誘拐をすることを決意。
クリスマスの夜、自販機の前に佇む少女に声をかける。
「僕は…君が欲しいんだ(人質として)」
しかし少女・三千院ナギはそれを愛の告白と曲解。二転三転の末、ハヤテは三千院家の執事として雇われることになるが、さっそく虎やロボによる手荒い歓迎を受け……

Impression

ヒロインがピンチになった時、その名を呼べばやってくる。
その名はハヤテ!
Hayate the combat butler!
ってなわけで、戦う借金執事マンガ、「ハヤテのごとく!」の紹介です。このサイトで少年マンガを紹介するなんて、何年ぶりでしょうね〜……
借金執事マンガってなんじゃらほい、と思われる向きも多いでしょうが、かいつまんで言えば、お嬢様と貧乏少年のラブコメディという、ありがちなパターンのシチュエーション。そこにお嬢様のみならず、メイドさんであるとか、関西少女であるとか、和装少女であるとか、女生徒会長とかが絡んで来て、ラブコメ指数がアップされているのが楽しいポイントですね。
わんさと登場するお嬢さま方に萌えたあとは、トラでもロボでも地下迷宮でもどんとこいとばかりに、執事服に身を包み、お嬢さまを守るためならどんな難敵でも素手で排除してしまうハヤテの活躍に燃えるという、少年誌らしい二重構造も売り物。
まあ、そもそもお嬢さまとかメイドとか虎とかロボとか、シチュエーションに無理ありまくりですが、そんなことは気にせずわくわくと萌え萌えをパラレルで楽しみ、頭をハイに出来るのがこの作品のいーところ。
あっけらかんと楽しめる、萌えて燃えるコメディです。

Nagi Sanzenin

本編のヒロインが、石油王の孫娘・三千院凪嬢。
金髪ツインテールツンデレロリっ娘お嬢さまと、なかなかのハイスペックなんですが、角度を変えて見ると、目つきの悪いヒキコモリ、わがままアニオタお嬢様というなかなかのロースペックぶりが見えて来ます。
しかし、けして気の強いダメキャラというワケではなく、気の強さも、自堕落なところも、な〜んか憎めなくなる、そういう魅力を持ったロリっ娘なんですよね。
それは何故かと言えば、ツンツンして見せながらも、やっぱり惚れたハヤテに一途な乙女らしさ。
勘違いから心を奪われてしまったハヤテに対して、素直になれないながらもくびったけなところがいじらしくて、たまらなくかわいく思えてくるんですよね〜。
マリア、咲夜、伊澄にヒナギク……とライバルは多いけど、がんばれよ、と応援したくなるヒロインです。

Charactor

フツーに読んでいたら、ナギよりむしろ彼女の方が萌えるのではないかな? という気がするのが、拗ね顔がかわいい三千院家のメイド、マリアさん。
超人のように完璧な家事遂行能力、三千院家のラスボスとでもいうべき存在感を持ちながら、聖母のごとき優しさが印象的な女性ですね。ああっ、こんなメイドさんに髪を洗って欲しい〜と身悶えするほどの聖母っぷり。ナギにとっては時に優しく、時に厳しいお姉さん役であり、ハヤテにとっては憧れの存在。
完璧超人でありながら憎めないところがあって、ヒロインに負けない存在感で読者を和ませてくれます。
黒髪萌えの私としましては、レギュラーの2ヒロインが黒髪じゃない! というあたりが、この作品の物足りないんだったりするんですが、この作品に不足している黒髪分を補充してくれるのが、ナギの幼なじみ、黒髪和装方向音痴退魔少女・鷺ノ宮伊澄ちゃん。根っからの方向音痴と、生まれついての引っ込み思案ゆえに、いつも眉を八の字にしておろおろしているところがかわいくて、いじめたくなっちゃう女のコですね♪
おっと、忘れてはいけないのが本編の主人公、借金執事こと綾崎ハヤテ
お嬢さまのピンチには必ず現れて、どんな敵も的確に排除するスーパーヒーロー。
しかし印象的なのは、その女顔ゆえに、マリアさんやナギの妄想の中でさかんに女装させられてる姿だったりしまして。この作品の隠れヒロインとも言えるヒーローなのです。

Guide

少年マンガらしい、あっけらかんとしたラブコメディーですね。
高橋留美子さん、安永航一郎さん、椎名高志さんといった、サンデー系すっとぼけドタバタコメディの系譜に連なるような作品で、幅広い読者に好まれる作品だと思います。
随所にオタ用語がちりばめられてますが、意味が分かっても分からなくてもストーリーを楽しむには影響無し。もちろん分かってた方が「ニヤリ」と笑えるわけですが。

2006.9