ひなた120%

(藤崎真緒/白泉社花とゆめコミックス・全3巻)

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Story

両親を亡くし、天涯孤独の身となった日向ひなた。
ぶっきらぼうな青年・斎矢陽介と、父の面影を持つ男性・日向伸一に迎えられ、日向本家に足を踏み入れたひなたはそこで、祖父・修一郎の意外な遺言を聞く。
曰く「修一郎の個人資産は孫・ひなたの第一子に相続させる」。
日向学園高等部に編入したひなたには、さっそくそのカラダを目当てにさまざまな男たちがやってきて・・・?

Impression

多彩な男性キャラ!お姫様〜な感じの洋館!色気に乏しいヒロイン!
どまんなかの少女マンガ!ってな感じの作品です。
基本的に男性受けする少女マンガをメインに紹介してきた(私がそう思ってるだけかも知れませんが)当サイトにしては珍しいかも。男性読者としてはその名の通りの元気少女・日向ひなたちゃんに萌え萌えするしか楽しむ道が残されてないような気もしますが・・・まぁ、気にせずに参りましょう。
突然日向グループ当主の遺産の鍵を握る存在となった天涯孤独の少女・ひなたちゃんの明るくめげないがんばりっぷりが唯一無二のエンジンとなってる作品で、その孤軍奮闘っぷりとか、食欲魔人っぷりに思わず笑みをこぼしながらとにかくヒロインにシンクロしてテッテーテキに堪能したい作品。
そうこうして読み込んでるうちに、ぎすぎすエピソードの中でさらっと触れられるハートウォーミング系のメッセージに心が思わず和んでいたりして、じわじわっと、来るんですよね。
読者を飽きさせない展開も手堅く、コメディ要素もストーリーを壊さないよう、ムードを盛り上げる形で入っていて、薄味かな〜と思ってる間にいつのまにか作品のトリコになっている巧妙なストーリーデザイン。
地味なようで、男の子向けじゃないようで、意外としっくりくる作品なのです。

Hinata Hyuuga

多彩な表情とグッドなプロポーションが魅力的ですね〜。直情径行で、正義感にあふれ、行動力抜群の負けず嫌いさん。ちょっと甘えたさんで、くいしんぼ。男がホレるというよりも女のコが憧れる、シンクロできる、そんな感じのヒロインですね。
しかし、そんな女のコだからこそ、男性読者にとっても気になる、守ってあげたくなる、ついていきたくなる、そんな気持ちにさせるキャラクターの「厚み」みたいなものがあるんですよね。
最近のキャラ立ちに優れたヒロインに比べれば、これといったアピールポイントがなく、地味な感じはありますが、それでいて存在感が抜群なのは、やっぱりキャラクターにチカラがあるから。とってつけたような個性じゃなく、行動力と存在感でズバリとハートに切れ込んでくる、正統派の大和撫子なんですね。
ホレるならやっぱり、こんな女のコに惚れたいものです。

Guide

前作「お星様にお願いっ!」の正常進化版みたいな作品ですが、美形キャラが豊富だったり、ヒロインに男性受けするような要素が少なかったりと、女性にはシンクロしやすく、男性になじみにくい方向に来てるような感じはありますね。
とはいえストレートなひなたちゃんのキャラクターは男性にもシンクロしやすいですし、あるいは彼女の賑やかな表情や、わずかなお色気描写を楽しむ方向でも楽しめます。
元気になりたい人におすすめの一冊、かな。

2002.3