(藤丞めぐる/白泉社花とゆめコミックス・全12巻)
近江の山奥にある暗殺者養成施設「緋桜院」で育った少女・梓。
緋桜院崩壊の後、大納言・北大路高遠の家に引き取られた梓は、やんごとなき姫として日々を送りながら、高遠と敵対し、悪政を繰り広げる左大臣一派を倒すため、夜は白拍子の衣装に身を包み、武器の「鋼糸」を操って京の都を駆けているのであった。
そんなある日、中務卿暗殺に向かった梓は、白拍子追捕の指揮者・子安時迅に顔を見られてしまう。
時迅は、梓に想いを寄せ、いつも花を届けてくれる男だった・・・
一途で、甲斐甲斐しくて、ちょっと照れ屋さんで、う〜ん、抱き寄せて守ってあげたくなるような、こんな女の子、いいですよね。
おまけに夜は白拍子になって悪をばったばったとなぎ倒しちゃう。
梓ちゃん、いいです。うぅ〜ん、俺のハートにキューピッドの鋼糸が突き刺さったようだぜ。
時代考証などのディテールにこだわらず、ストーリーの流れを重視した構成で、私のような「歴史上の事実なんかどうでもええけんね」派の人間でも一ページ目から話に入って行けて、このへんもなかなかぐぅであります。
主人公・梓の内面を描く事を重視している作品で、人間関係のドロドロしたものとか、歴史的な解釈と言ったものはほとんど無視して話が流れており、歴史モノとしては比較的ストーリーに入っていきやすいと想います。
また、複数巻にまたがる大きなエピソードがなく、どこから開いてもそれなりに楽しめます。気が向いたときにちょっと本棚から取り出して、軽く読める感じです。
おすすめは2巻。絵柄、ストーリーがこなれた感じでいいのに加えて、おまけマンガが何と27ページ。ここから読んだほうがすんなりハマれるかも。帝もかわいいし。
1999.7