(藤丞めぐる/白泉社花とゆめコミックス・全12巻)
近江の山奥にある暗殺者養成施設「緋桜院」で育った少女・梓。
緋桜院崩壊の後、大納言・北大路高遠の家に引き取られた梓は、やんごとなき姫として日々を送りながら、高遠と敵対し、悪政を繰り広げる左大臣一派を倒すため、夜は白拍子の衣装に身を包み、武器の「鋼糸」を操って京の都を駆けているのであった。
そんなある日、中務卿暗殺に向かった梓は、白拍子追捕の指揮者・子安時迅に顔を見られてしまう。
時迅は、梓に想いを寄せ、いつも花を届けてくれる男だった・・・
設定だけを見るとアクション系の作品か、あるいはお涙頂戴系の事件モノか、という感じですが、実際はかなり主人公・梓の内面を描く事に場面を割いており、ネタや仕掛け的なものはあまり出てきません。
展開もスピード感には欠けますが、ほのぼのとした感じのユーモアと平安時代という時代設定、包み込むような梓の性格があいまって、殺伐とした基本設定とは裏腹の暖かな雰囲気を作り出しています。
梓のキャラクターがいわゆる「女の子らしい」キャラクターで、意外と男性ウケする作品かもしれません。
1999.7