(葉鳥ビスコ/白泉社花とゆめコミックス・全18巻)
超セレブ校・桜蘭学院の特待生(貧乏人)・藤岡ハルヒはある日、第三音楽室の扉を開けてしまう。
そこはなんと、美麗高校生たちが有閑女子高生たちをもてなす「ホスト部」だったのだった。
ハルヒはその場で、ルネの花瓶を粉々にしてしまう。その価格、800万円以上。それを弁償するために、ハルヒはホストとして100人の指名を集めるノルマを果たさなければならなくなる。
天然系ホストとしてホスト部に加わったハルヒ(実は♀)は無事、100人の指名を集めることが出来るのか?
ハイテンション・学園コメディ登場ー♪
出てくるのは美形のヤローばかり、ヒロインも男装でイマイチ萌え要素に欠けるよーな気もするけど、まあ、気にするな。
とにかく花が咲き乱れ、光が飛び散る無駄に華やかな画面に乗せて、超セレブ校の個性キャラが縦横無尽に駆け回る、そのテンションがぐぃーっと読者を盛りあげる、言い換えれば、なんだかよくわかんないけど読んでるうちに勝手に盛り上がってしまうような不思議な魅力が溢れている作品です。ノリ的には少年誌系の萌えコメなんですね。男女逆だけど。
なんつーかほんとにね、キャラたちが勝手に盛り上がって、どたばたしてるうちにストーリーが終わっちゃってるような作品なんですが、ハルヒちゃんのニュートラルなキャラがノリが暴走するのを上手く食い止めていて、ストーリーから少しだけ浮遊しながら、波に揺られるようにハッピーエンドに流れ着いてく、その感触がたまらんのですねー。やつぱりノリだけで考えずに読ませるハイテンションな作品というのは楽しいものです。
ついでながらハルヒちゃん×ゲストキャラの女のコという形で、いまはやりの百合風味が味わえるとか味わえないとか。
美男が花咲く桜蘭学院に開いた一輪のドライフラワー、それが藤岡ハルヒちゃん。
「ちゃん」とは書いたものの、ナチュラルキャラのホスト部員として女性との心を鷲掴みにするキャラクターと、あまり恋愛要素など女のコがシンクロする要素が出て来ないこともあってむしろ、ハルヒくん、と呼びたい感じですね。
大きな瞳が印象的な黒髪ショートカット男装少女。その厭味なほどの自然体なクールさには、ホスト部のお客様同様私も、「おぉぉぉぉぉっ?」とかなんとか言いながら、どっかが振り切れてしまいました。
男にしとくにゃ魅力的過ぎて、女にしとくにゃ破壊力あり過ぎという感じの、ユニセックス・ダイナマイト。
ニュートラルで不思議なポジションを保った、個性派ヒロインです。
女性読者の好みをサーチ&デストロイ・・・違った、リサーチ&デベロップメントして作られた「桜蘭高校ホスト部」。それだけに女性読者の心を波立たせる魅力的なホスト高校生が王子系・眼鏡系・双子系・ワイルド系・ショタ系・ナチュラル系(ハルヒのことね)とよりどりみどりなんですが、男性読者が注目するサブキャラと言えばやっぱりこの人でしょう。
埴之塚光邦ことハニー先輩!先輩だけどショタキャラ!いつもうさぎのぬいぐるみを手離さないあたりとか、イベント事になると基本的に役に立ってないあたりとか、とにかく愛玩用に徹したそのキャラクターが光ります。・・・ちゅーか男性読者的にはビジュアル的な楽しみってハニー先輩だけだよな。
もひとり。
王子キャラの須王環。ポジション的にはハルヒの王子様役なのかなぁ〜とも思えるんですが、王子様的魅力が回を追うにつれて光り出すわけでもなく、逆に回を追うに連れて王子様の仮面に隠れた素顔の魅力が覗くわけでもなく、回を追うに連れて王子様のメッキがはがれてお笑いキャラになって崩れさっていく様があたりがさらに楽しいキャラクターです。それでもナルシーさを失わないあたりが追い打ちをかけるように痛々しくもおかしかったりして。
男の子が読んで楽しいのか、若干どころではなく不安が残るんですが・・・。まぁ、いざとなったらハルヒかハニー先輩に萌える方向で。
ともあれノリでけっこう楽しめる作品です。ストーリーも画面もゴチャゴチャした部分が多いんですが、それぞれのキャラがはっきりしているので、セリフを追っていくと、けっこう気にならずに読めますね。
2003.10