ななはん

(ももせたまみ/講談社ワイドKCアフタヌーン・全2巻)

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Story

下町の質屋「ななや」の看板娘は、おっとり巨乳処女・だけど言葉の刃の切れ味は抜群な長女・織絵、落ち着いた次女、だけどその実は妄想爆裂なボーイズラブ小説家・園子、時代劇大好き江戸っ子小学生の三女・ななんの三姉妹。
下宿人の栗原さん、ソープ勤務の常連・キナコ、ななんの同級生・金ちゃんを交え、「ななや」の店先で、茶の間で、のんびり、だけどHに繰り広げられる、ホームコメディ四コマ。

Impression

当サイト最推マンガ家・ももせたまみさんの講談社デビュー作です。
いつもどおり、ちょっとHなももせ節は健在。っつーか、「おま○こ」なんて言葉が伏せ字無しで出てくるし、「ち○ちん」も軽〜く出てくるし、なかなかあなどれない作品になっています。
それでもやらしい感じがなくて、かわい〜い印象が残るのが嬉しいポイント。
そしてその、「ちょっとH」+「かわいい」だけでも無敵なところに付け加えて、下町の質屋を舞台に、ちょっと昭和レトロな雰囲気をプラス。これがほんわかと優しいムードを醸していて、ホームコメディみたいな優しい気持ちで楽しめる作品になっているんですね。
ななやの三姉妹+常連さん、多彩なキャラが生み出す、路地裏の懐かしさと大家族時代の賑やかさがページから立ちのぼってくる、楽しい四コマです。

Character

どーでもいーけど。
大阪では江戸とは逆に「シ」を「ヒ」って発音するんですな。下町の駅の広告看板に「ヒチ」なんて書いてあって、なんのこっちゃねんと思ったんですが、あれって質屋のことだったんですね。
てなわけでななや三姉妹の紹介です。うーん、三姉妹って言葉の響きはやっぱりいいですねー。
三姉妹と来れば三女から紹介するのが鉄則でしょう。ってなわけで最初の紹介は三女のななんちゃん。
ちみっちゃツインテール小学生。いつも犬のわんこと一緒にいるところがお子様感を増幅させているんですが、その実家事&ツッコミ担当のしっかり者。口調は浅草のおばあちゃんのよーな江戸っ子口調。趣味は時代劇鑑賞、特技は三味線と、いったい将来どーゆー方向に成長していくんだろうと、読者を不安に陥れるような落ち着きっ振りがろりろりなルックスとアンバランスで、いーですね。
黒髪メガネの次女が園子。黒髪メガネと来れば清楚と続くのが定番なんですが、彼女の場合はなんと職業がBL小説家。マンネリとスランプに喘いでみたりしつつも、ちょっとしたきっかけで妄想の嵐を暴走させるイマジネーションの豊かさが武器の、脳内ラヴィアンローズな女のコです。うーん、この妄想力は私も見習いたいところですねえ。
で、長女が織絵さん。27歳。巨乳。処女。おおおーーーーーーーーとどこからか雄叫びとか歓声が聞こえてきそうなハイスペックお姉様です。いつも絶やさない笑顔も魅力的で、思わず「織絵おねえさぁ〜〜ん」とすりすりしつつひざまくらになだれ込みたくなってしまうんですが、実は笑顔でぐっさりの毒舌家。
皮肉とか陰口じゃなく、100マイルの直球を槍のように相手の心臓めがけて投げ込む、そのえげつなさがルックスといいギャップになっていて、魅力的です。

Guide

アフタヌーンという掲載誌自体がマニアックと言えばマニアックなんですが、ストレートな下ネタと、ホームコメディの温かさを、下町ののんびりムードでつなげた、ある意味無茶な作品。ももせたまみさんにしては設定にクセがあり、ちょっと上級者向け、という感じがありますね。
ハマる人はハマると思いますが、ダメなヒトはダメかも。「ももいろシスターズ」「せんせいのお時間」あたりでトレーニングしてから挑まれることをお勧めします。

2004.6