猫田のことが気になって仕方ない。

(大詩りえ/集英社りぼんマスコットコミックス・全10巻)

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Story

転校を繰り返してきた小学生・周未希子は、新しく越してきた学校でも今までと同じように、いずれ別れるクラスには深入りせずに過ごすつもりだった。
しかしその考えは、隣の席の少年によって覆されることになる。
隣の績の少年・猫田はなんと、猫顔の少年だったのだ。
これは気になって仕方ない……!

Impression

「俺物語」などでもおなじみ川谷康久さんの、色づかいと独特のレタリングに惹かれて思わず手に取ったこのマンガ。
いや〜、アタリでしたねぇ。
元気活発な転校生がクラスを引っかき回すというのは、「りぼん」の王道、大定番。
そこに絡むヒーローはキュートでカッコよくて、ミステリアス。
ストーリーはあくまでもシンプルに読者をぐいぐいと引っ張り、これはもう引き込まれずにはいられません。
ヒーローが「猫」だなんというと、これはもう明らかにコメディのスペックなんですが、きちんとハートフルで、ちょっとラブ風味になっているところが絶妙で、なんとも憎いんですよね〜。
それでいてナチュラルに笑える部分もきっちり装備。
「ありえねーだろ」と「なんとなく納得」が共存した、読んでて明るい気持ちになる作品です。 

Mikiko Amane

本編のヒロインがみっきーこと周未希子ちゃん。黒髪ポニーテイルと明るい笑顔がトレードマークの小学6年生です。
親が転勤族で、「どうせ別れるなら友達を作っても仕方ない」なんて考えている、ドライな女のコ。実際、ストーリーの冒頭ではツンと澄ましたような表情が印象的なんですが、その実はにぱっとした笑顔がおひさまのように眩しい女のコなのです。
思考回路はさばさばドライで、ボーイッシュ。それゆえに女子には敵を作ってしまったりもしますが、転校早々男子の子分が出来たりして。うん、確かに姐御、って感じがする女のコなんですよね〜。
少女マンガのヒロインなのに、ある意味男がその男意気に惚れちゃいそうなサバサバ感かあって、まぁ、なんというか、赤いランドセルが似合いません(笑)。
ストーリーを自らぐいぐいと引っ張って行く活発少女。読みながら、みっきーの行動力に振り回される、そんな感覚が楽しくてたまらなくなるのです。

Charactor

白黒ハチ割れのネコ、飼ってたなぁ。
ってなわけで、本編のヒーローが猫田
ルックスが、まぁ、猫な訳なんですが、その中身はクールなナイスガイ。実に少女マンガのヒーローらしい、非の打ち所のない好漢なんですよね〜。猫だけど。
「こいつ、絶対小学生じゃないだろ」と突っ込みたくなるほど大人びていて、ともすると嫌味になりそうな部分もあるんですが、そこをその外見が見事に中和。なるほど、「気になって仕方ない。」ヒーローですね。
吊り目のツインテという、いかにもなルックスなのがクラスのリーダー、乾春菜ちゃん。
なにが根拠かよく分からないけどとにかく自信満々、小学生らしい恐れ知らずで、ことあるごとにみっきーにつっかかってくる、見事なまでの悪役っぷりなんですが、それでいて憎めないところがあるんですね〜。小学生らしく、悪者に徹しきれないところがちょっとかわいいライヴァルちゃんなのです。

Guide

明朗快活な、典型的な少女マンガ。年少向けのワンアイディア作品なので、読み込む要素は少ないですね。
ラブ要素も少なめなので、コメディ要素を楽しみつつ、ライトに読む方向で。

2014.4