(たがみよしひさ/学習研究社ノーラコミックス・全13巻)
田沼平九郎探偵事務所の探偵・安堂一意は、超虚弱体質の持ち主だが、推理の冴えは抜群。その安堂とコンビを組むのが全身筋肉男・三輪青午。この二人を中心に、田沼探偵事務所の面々が数々の難事件に挑む。
一時期、推理マンガがブームが起きたとき、密かに現れ、あまり注目されることなく消えて行った作品ですが、ヨッパライ的にはたいしたトリックでもないのにやたら人が死んだり、ミスディレクションばかりバリバリと張ったり、おどろおどろしい雰囲気やシチュエーションを作ったりで、話がだらだらと続く本格風ミステリコミックよりも軽ミステリとして気楽に読めるこちらを断然勧めます。
ヨッパライ的暴論だけど、コミックとかミステリってシチュエーションを読ませるものじゃないだろー、というワケで。
安堂と三輪のふたりがひたすら常軌を逸しているところがまたよし。たがみ節とでもいうか、独特のすっとぼけた会話も楽しめるし。
Report.28 まっくろな嘘(コミックス4巻収録)
4巻に入ってるエピソードは印象が強いものが多いんですが、その代表ということで。ひねりも何もないんだけど、論理で追い込んでいくテンポがいいです。
Report.54〜56 その男達、凶暴につき(コミックス8巻収録)
クルマは爆発するは、飛行機は落ちるは、銃は火を吹きまくるは、派手なシリーズです。しかし会話が一貫してとぼけた感じなのがたがみ流。ちょっとした映画のような雰囲気の雪山チェイスになっています。
Report.75〜77 ボディガード(コミックス12巻収録)
ふたりの主人公がそれぞれの役割の中でいい味を出しています。たがみさんのカットバックは散漫にならず、緊迫感が出て来て好きです。
基本的に一話完結な上にキャラクターの出入りも少ないので、どこからでも楽しめます。小さい書店だと飛び飛びの巻しか置いていないことも多いので、目についたものからゲットしましょう。
ミステリコミックにしては珍しく背景が白いし、生首がバーン的描写もないので、ミステリに抵抗がある人でも気軽に読めるはず。ただし、安堂が所かまわずげろを吐くので食事中に読むのはやめましょう。
1999.1