(藤野もやむ/エニックスガンガンWINGコミックス・全5巻)
クレームドゥ=カカオは、心を喪った姉を助けてもらうべく、山の彼方に住む「なんでも屋」、ベルスタシオ=イヴルを頼ろうとするが、あっさりと門前払いを食う。
しかしその帰り道、カカオは邪眼の少年−ナイトメアの幻覚に襲われ、イヴルに助けられる。なんの気まぐれか、最前の言葉と裏腹に「守ってやろうか?」と口にするイヴル。そこから、カカオとイヴルの奇妙な旅と共同生活が始まるのだった。
最初にこの本を見かけたのは2巻(たぶん)の発売時。
カバーの赤髪のコ(カカオちゃんのコトね)が気になるな〜、ってな感じで以後ちびちびと立ち読みしたり、掲載誌を買ってみたり、web上でチェックしたりしてたんですが、4巻発売からしばらく経って、ようやく購入しました。
いやー、読んでみたら満足、満足。なんでもっと早く買ってなかったの、と自分で自分を責めたくなるほど楽しめる作品でした。
楽しみの根幹はなんといってもさっくりしてかわいい感じの絵柄と、明るいカカオちゃんのキャラクター。しかし萌えだけでつきすすむ作品ではなく、ちょっとハードなストーリーがしっかりしてますし、ひとつひとつのセリフをきっかけにしっかり展開しながらもぎこちなさを感じさせないストーリー作りも○。
萌え萌えしてるうちに、あっと言う間にストーリーの魅力にからめ取られてしまう、そんな読後の満足感が高い作品です。
来た来た来た来た、来ましたよぉ〜っ。
最近は黒髪ショートカット萌え業に精を出していた私ですが、忘れちゃいけません、ろり萌え業も営業していたのですよ。
そんな私のろり萌え魂を激しく揺さぶってくれるのが、本編のヒロイン、クレームドゥ=カカオちゃん、御年8歳。ショートカットに耳つきのおっきな帽子がかわいらしさを無限に増幅してくれる感じで、いやもうたまらん、って感じにかわいいですね。帽子と衣装のだぶだぶ感がちみっちゃい印象を補強してくれる感じで、このへんがろり萌えにはツボのツボ。真剣さ1000%の多彩な表情も読み手のハートをずばりと揺さぶってくれて、いやいや年下好きにとっては危険な要素満載のスィート・リトル・ダイナマイトなんですよね。もう、ひと目見たときから、頭の中の年下感応部が連鎖爆発して、いっきに湯気吹いてオーバーヒートしてしまう感じ。カカオちゃんがいるだけで、他になにもいらないっ!もうっ!という全面だめだめ状態になってしまいます。
子供らしく、感情をストレートに出すところもあれば、育ちの良さを感じさせる口調のはしはしやなんかにどこか大人っぽく落ち着いたとこもあって、そんなところが不安定っぽくてほっとけないんですよね。カカオちゃんが微笑めば読み手の心もほんわ〜と温かくなるし、カカオちゃんが涙を流せばこっちの心も切なく締め付けられる感じで、な〜んかずぶずぶと感情移入しちゃうのです。
ちょっぴりハードな作品世界に誘う案内役として、無垢で明るくて、かぁいいカカオちゃんはほんと適役。萌え萌えしながら深いストーリー世界にナビゲートしてくれる、そんなヒロインです。
まずはもうひとりのメイン女性キャラ、タイムズ=アーリちゃん。黒いロングヘアにすらりとしたプロポーションがなんとも大人っぽくていいですね。押し出しの強いキャラクターで、カカオちゃんにとってはいいお姉さん役。どこにでもいる、面倒見のいいお姉さんという感じに惹かれてしまいます。
そしてカカオちゃんと並ぶ本編の主役、ベルスタシオ=イヴル青年。最初はミステリアスでとっつきにくいキャラクターなんですが、濃いサングラスの奥に隠された表情が少しずつ明かされていくたびに、人間的魅力が垣間見えてくる感じで、なかなかいいですね。かっこよくて、フツーっぽい、主人公らしい主人公です。
ストーリーの造りがしっかりしているので、萌え重視、絵柄重視で読み始めても問題なし。というかカカオちゃんにどれだけ感情移入できるかで作品の印象が変わってきますね。ファンタジーにしてはキャラクターが少なく、全体にシンプルな作品世界なので入りやすいと思います。
2002.1