織田信奈の野望

(青刃時雨・春日みかげ・みやま零/角川コミックスエース・全6巻)

ノーマルモードへ

Story

現代から安土桃山時代、しかも合戦の最中にタイムスリップしてしまった高校生・相良良晴。
彼は戦国の英雄・織田信長に仕官すべく、今川軍の攻勢の前に立ちはだかる。
運良く今川軍を退けた良晴は、ついに信長に謁見することになるが、織田軍の大将はなんと信長ではなく、美少女「織田信奈」だった。
姫武将たちが戦国を駆けめぐる、萌えて燃える戦国絵巻。

Impression

現代から戦国時代にタイムスリップ? ……あー、ありがち。
戦国武将がキュートな女のコに! ……最近流行りだよね〜。
と横目からジト目で見ていたはずのこのマンガ、なぜか手許にあったんですが(何で買ったんだか自分でもよく覚えていない)。
読んでみるとこれがなかなか面白いんですよね〜。
織田「信奈」がツンデレポニテだったり、柴田勝家が巨乳美少女だったり、松平元康(徳川家康)が眼鏡っコだったり、丹羽長秀がきれいなお姉さんだったりと、ヴィジュアルはあからさまに萌えの王道、イロモノ一直線を突っ走りながら、斎藤道三の「美濃譲り状」や桶狭間の合戦といったエピソードを、しっかりした考証のもと、新たなアイディアを加えて再構築していて、ストーリーラインはしっかり大河ドラマしているんですね〜。
だから読みごたえのある歴史ものとしてもしっかり成立。萌えながらわくわく出来る、実に楽しい作品なのです。
さらに戦国期を舞台にしているだけあって、黒髪率が高いのもポイント。さらになぜか幼女率が高いというのもたまらないですねぇ〜。
誰も見たことのない「戦国」がここにある!
と、桶狭間の夜空に高々と宣言したくなる、インパクト抜群の作品です。

Nobuna Oda

栗色のポニーテールに、きゅっと切れ上がった大きな目、そして不敵な笑顔が素敵な美少女。
作品冒頭から引用すれば、「湯帷子を身にまとい 太刀と脇差 火打袋とひょうたんをぶら下げて 袴の上には虎の皮! 肩にかかるは種子島 そして極めつけは見せブラ!!」という16世紀と21世紀が奇跡の融合を果たした傾奇スタイルがトレードマークの本作のヒロインが、織田信長ならぬ、織田信奈姫なのでございます。
黙っていればかわいいけれど、黙っていればかわいいというのは、すなわちいつも黙っていないわけで。
西へ東へと戦場を駆け回ったかと思えば、傾奇スタイルで領内を巡り、そのたびに良晴は首に縄をつけられて引っ張り回らされたり、無理難題を吹っかけられたり。ツンデレ全開、Sっ気満載、片時も休まず周囲を振り回し続ける、第六天魔王ならぬ第六小悪魔王なのです。
しかしその内面は単なるうつけ姫ではなく、家族同士の諍いに胸を痛めつつ、争いのない世界をもたらすために天下布武を目指す、ひたむきでまっすぐな女のコ。
このコと一緒に天下を夢見たい、と思わせるエネルギッシュな少女なのです。
姫武将ならではのバイタリティに、身も心もとかされちゃいます。

Charactor

姫武将大挙登場!
というわけで、黒髪好き、和装萌えにはなんともたまらない作品ですが、まずはちびっこ3人娘からご紹介♪
まず登場は忍びの頭領、蜂須賀五右衛門。鎖帷子に身を包み、攪乱も諜報もお手の物。ですが、ルックスは小学5年生くらいで、さらに長セリフになると必ずかんじゃうという、なんともなでなでしたくなっちゃう忍者なのです。
続いての登場は前田犬千代。見かけによらない力持ちで、合戦担当の姫武者。時折ドスッと突き刺さるツッコミを入れてくれる寡黙でクールな女のコなんですが、小袖を欲しがったり、ういろうが好きだったり、素顔はやっぱりちっちゃな女のコ。勇猛果敢と純情可憐の、そのギャップがたまりませんね。
そして当作品一番のお気に入りが、ああやっぱりねと言われても、ねねちゃん8歳。黒髪に挿した花がトレードマークの、活発な女のコです。純粋無邪気に見えて、けっこう利発なところがあったり、ツッコミが厳しかったり。8歳のわりになんだか世話女房っぽいところも、チャームポイントですね。
なに?
もうちょっと育った姫武将がお好みであると。
ならば、柴田勝家に尽きるでしょう。豪快にして勇猛な黒ヒゲの武将として知られる柴田勝家ですが、当作品では豪快なバストを持つ黒髪の姫武将として登場。勇猛果敢な脳筋ぷりもチャームポイントで、頭脳担当の主人公・良晴とはいいコントラストを描いています。
大きなリボンに外はねの髪が印象的なのは丹羽長秀。いかにも清楚なお姉さん、というたたずまいがいいですね〜。基本熱血漢揃いの当作品の中では一服の涼風、といった存在です。
1巻では出番が少ないのですが、今川義元もいいキャラした姫武将ですよ♪
いやいや、やはり戦国ものなら骨太な漢を見たいという方には(そういう方は別の作品を読んでもらった方がいいような気もしますが)、美濃の蝮こと斎藤道三がオススメ。「国盗り」で知られる豪傑ぶりが、この作品のいい重し、いいアクセントになっています。この作品の面白さのうち、3分の1くらいは道三の存在感に拠ってるんじゃないかな、と思いますよ。

Guide

人気のライトノベルが原作だけあって、さすがによく出来ていますね。
ただ戦国ネタは、歴史の苦手な読者を完全に置き去りにするレベルなので、中学日本史程度の知識は必須だと思います。まぁ、和装萌え路線でも楽しめないこともないですが。

2013.9