(青刃時雨・春日みかげ・みやま零/角川コミックスエース・全6巻)
現代から安土桃山時代、しかも合戦の最中にタイムスリップしてしまった高校生・相良良晴。
彼は戦国の英雄・織田信長に仕官すべく、今川軍の攻勢の前に立ちはだかる。
運良く今川軍を退けた良晴は、ついに信長に謁見することになるが、織田軍の大将はなんと信長ではなく、美少女「織田信奈」だった。
姫武将たちが戦国を駆けめぐる、萌えて燃える戦国絵巻。
歴史もの、というのが結構好きなジャンルなので、勢い、歴史をもとにしたパロディなどもよく買うのですが、つかまされるのは殆どハズレ、というのが実態。
その中で、この作品はなかなかのアタリでした。
キャラクターだけを歴史上の人物から拝借して……という上っ面だけのものではなく、ストーリーもしっかり歴史をふまえ、大河ドラマとして成立しているのがなによりの美点。しかもただ歴史の流れに女性化した武将を置くのではなく、きちんと萌え系にアレンジしたストーリーを構築しているのですから、原作がヒットしたのも理解できます。
時折「あれ? このストーリー展開、史実と違うような……」と思うと、それが後段への伏線だったりして、ニヤリとさせられるところも多数で、これはちょっとしたパズルを解くような気持ちよさ。
アクションとコメディ、知謀と萌えを振り子のように往復するストーリーを、小気味よく描き出すコミカライズの腕も確かで、見た目以上の読みごたえが感じられます。
2013.9