月刊少女野崎くん

(椿いづみ/スクウェア・エニックスガンガンコミックスONLINE・1〜9巻)

ノーマルモードへ

Story

佐倉千代、16歳。
憧れの野崎くんに告白した彼女は、そこで野崎くんが「夢野咲子」というペンネームで活躍している少女マンガ家だと知る。
繊細な心理描写と華やかな画面で人気の「夢野咲子」だが、実際の野崎くんはやたらとドライな堅物で……
野崎くんと、周囲の残念な人たちが織りなす、抱腹絶倒のスラップスティックコメディ。

Impression

最近は「きらら」系のまったりとした日常系萌え四コマの紹介ばかりしていましたが。
久々に笑えるハイテンション四コマの紹介ですよ〜♪
椿さんは「親指からロマンス」の頃から「ヘンなマンガ描く人だなぁ」と思ってましたが、四コマにやって来ていよいよ本領発揮。
マンガや学校生活に関するネタを、「うん」「あるある」と途中まで納得させながら、4コマ目で豪快に明後日の方向に蹴り飛ばす、切れ味満点なネタをこれでもかッ!と取り揃え、読者の腹筋と顔面括約筋を破壊しにかかってきます。
まぁ、まともなキャラといえば千代ちゃんぐらいのもので、クールすぎだったり、中途半端にツンデレだったり、圧倒的にKYだったり、これでもかとバイオレンスだったりと、徹頭徹尾個性派揃い。
それがハイテンションな空気と、四コマのリズムの中に放り込まれるんですから、何の化学反応も起きないわけがなく、ページをめくるたびに「なんじゃこりゃ〜〜〜!」「んなわけあるか〜〜〜!」と、ページをめくるたびにツッコミ入れながら笑ってしまいます。
ワイドな画面でヴィジュアル面でも楽しめるのがうれしいポイント。
どこをとってもインパクト抜群なハイパーコメディです。

Umetaro Nozaki

ここでヒロインの紹介をするのが、このサイトのセオリーなんですが。
この作品で真っ先に紹介するとしたら、やっぱり野崎くんになりますよねぇ。
背が高く無骨なルックスでありながら、売れっ子の少女マンガ家というこのルックスのギャップ。
繊細な心理描写と華やかな画面を売りにロマンス作品を描いているとは思えないほどに、ドライで唐変木でデリカシー不足で、内面もやっぱりかなりのギャップ。
そして、マンガに対する真摯さは異常なほどで、その結果、言動のすべてがあさっての方角に行っちゃうんですよね〜。
個性派揃いのこの作品ですが、迷走のレールを敷いているのは明らかに野崎くん。
一挙手一投足が笑える、規格外のヒーローです。

Charactor

上段で無骨なヤローを紹介してしまったので、こっちでは女のコを紹介して潤いを。
本編のヒロインが佐倉千代ちゃん。
大きな瞳に長い睫毛、栗色の瞳に水玉リボン。あざといほどに「ヒロインですッッッッ!」というオーラを出してますね〜。
どこがいいのか、野崎くんに惚れてしまった恋する乙女。なので、基本的にはこの作品に数少ない常識人、クールなツッコミ役というのがポジションでありながら、野崎くんのことになると残念乙女に退化してしまい、結局はボケからツッコミまで縦横無尽に活躍できるマルチなヒロインだったりします。
「声楽部のローレライ」の異名をとるのが瀬尾結月嬢。ローレライといえばライン川で船乗りを惑わせ遭難させる怪物ですが、結月さんもまた怪物級。人を傷つけることも厭わない直球の……どころか、わざと人を傷つけようとしているとしか思えないビーンボールのような言動で周囲を惑乱の渦に陥れる、まさにローレライなのです。
「王子」の異名をとるのが黒髪ショートカットのマニッシュガール・鹿島遊嬢。眉目秀麗、成績優秀、スポーツ万能で、もちろん女のコにモッテモテ。でありながら、どこか残念。あちこち残念。ほんとに成績優秀なのか疑いたくなるほど、抜けた言動が多くて笑わせてくれます。
うん。3人ともしゃべらなきゃあ、すごく魅力的なんですけどねぇ……

Guide

少女マンガ色の残る画面に、切れ味に特化したハイテンション四コマ。
ヒット作ではありますがアクが強く、意外と読み手を選ぶ作品かもしれません。ゆるゆるまったり、萌え重視の最近の萌え四コマのノリを期待すると肩すかしにあうかも。

2014.3