(椿いづみ/スクウェア・エニックスガンガンコミックスONLINE・1〜9巻)
佐倉千代、16歳。
憧れの野崎くんに告白した彼女は、そこで野崎くんが「夢野咲子」というペンネームで活躍している少女マンガ家だと知る。
繊細な心理描写と華やかな画面で人気の「夢野咲子」だが、実際の野崎くんはやたらとドライな堅物で……
野崎くんと、周囲の残念な人たちが織りなす、抱腹絶倒のスラップスティックコメディ。
以前紹介した「親指からロマンス」で、とぼけた風味のコメディを描いていた椿さんですが、四コマに舞台を移し、ネタの切れが一段と増した印象があります。
ネタの切り口は「マンガ家あるある」「少女マンガあるある」的なものなんですが、通り一遍の「あるある」で終わらせず、突き抜けてあり得ないネタにしているところがポイント。普通にコマを割ったマンガよりも、四コマの固定されたリズムに嵌めることで、作者の独創性が一気に花開いたように感じられます。
横長の画面は、少女マンガで培った華のあるヴィジュアルを生かすのに絶好。ちょっとセリフが多めというか、説明的な部分の多い作品なので、画面が大きいことがそれを軽減し、読みやすく仕上がっていますね。
久々に、最初から最後まできちっと笑える四コマを読んだ、という気分になりました。
2014.3