（美麻りん／講談社コミックスなかよし・全２巻）
勉強ダメ、スポーツダメ、家庭科もパソコンも絵もからっきしな中学１年生・杉本初音は、教師に薦められ、合唱部に入ることに。
歌を視覚で捉えることが出来る自分の能力を嫌っていた初音だったが、前向きな合唱部のメンバーに支えられ、歌うことの楽しさを覚える。
その視線の先には、自分の能力「超・絶対音感」を認めてくれたシオン先輩の姿があって……
泣き虫・初音が恋に部活にがんばるピュアストーリー。
気がつけば、新人さんの少女マンガを紹介するのはずいぶん久しぶりですね〜。
半泣き顔がむちゃくちゃかわいい音楽少女・杉本初音ちゃんが活躍する中編です。
ストーリーとしては努力・友情・成功といった感じのオーソドックスな部活もの。
初音ちゃんが悩んだり、挫けたり、恋したりしながら、一歩一歩成長していく物語で、その一直線な眩しさに時折目を細めたりしつつ、だけど初音ちゃんの表情はきっちり目に焼き付けつつ、ストーリーに夢中になってしまいます。
奇を衒わないストーリーが読みやすさの源泉になっているのは確かですが、この作品をそれ以上のインパクトある作品に仕上げているのは、なんといっても初音ちゃんの表情の豊かさ。
ほとんど半泣きがデフォルトという感じで、泣いたり悩んだり挫けたりなんですが、それだけにオトコの保護欲をぐりぐりと刺激されちゃいますし、問題を克服したときの笑顔に、心から和めるんですよね〜。
脇を固める部員たちも個性豊かで、端役にしておくのはもったいないほどで、新人さんの作品とは思えないくらい、充実感たっぷりの作品に仕上がっています。
萌え萌えしつつ、わくわく出来る、１冊でおなかいっぱいの好作品です。
本作のヒロインが、杉本初音ちゃん。
おさげをふたつ結った、外はね気味のミルクティー色の髪と、おっきな瑠璃色の瞳が印象的な美少女ですね〜♪
実力テストオール３０点、１００ｍ走１７秒、家庭科もダメ、パソコンもダメ、絵もダメな中学１年生。
だけど、音符のおばけ（妖精？）「おんたま」という形で、音楽を目で見ることが出来る「超・絶対音感」の持ち主なんですね〜。
まぁ、だからと言って、音楽の才能があるわけでも、歌が天才的に巧いわけでも何でもないんですけど（笑）。
だけど、「おんたま」の表情から、歌い手の音楽に対する「思い」を読み取り、人の心を開いていく、そのひたむきさ、純粋さがとてもまぶしいんですよね〜。
にっこり笑った表情も、挫けて半泣きになった顔も、頬をほのかに染めたところも、とってもかわいい表情豊かな女のコ。
がんばれっ、って応援したくなるピュアガールです。
努力、友情、成功というストーリーメイクに、なにをやらせてもダメな劣等生キャラというのは、一昔前の少年マンガの定番。
そして少女マンガ度バリバリ、萌え感たっぷりな絵柄。
一見微妙なバランスですが、ある意味男子にも女子にもアピールポイントがあって、意外と、こっち（どっちよ？）方面の方にしっかりなじめる作りの作品だと思います。
半泣き顔がデフォルトの初音ちゃんの成長を見守る作品だと思いますので……ちょいＳな萌族にベストマッチな作品かも（汗）。
２０１０．８