(椿いづみ/白泉社花とゆめコミックス・全9巻)
マッサージ研究会の一年生、東宮千愛が一目惚れしたのは、通学バスの中で見かけた、男子生徒の凝りに凝りまくった背中。
それは学校一のモテ男・森泉陽介の背中だった。
その背中をマッサージさせてくれと切り出す千愛に対する彼の返事は、「俺を本気にさせたら」。
ミステリアスな陽介の言動に振り回されつつも、陽介を自分に惚れさせるため、奮闘する千愛だが、純情で内気な彼女は空回りを繰り返すばかり。果して千愛は陽介の背中に辿りつくことが出来るのか?
腎兪!至陽!志室!
千愛がツボに挑み、武の指が唸りを上げ、陽介の背中は吠えんばかりに凝りまくる!
けったいさ炸裂の少女マンガです。まぁ、ここで紹介する少女マンガがけったいなのは今に始まったことじゃないんですが。
舞台は高校のマッサージ研究会。主人公・東宮千愛ちゃんはマッサージの天才少女。他人の凝った背中を見れば「マッサージしたい!」と欲情し、幻の書物「マッサージ秘伝」に目を輝かせる女のコなのです。
でもその素顔は、内気で引っ込み思案の女のコ。兄以外の男性とはマトモに話も出来ず、誤解を受けても黙って殴られているようなおとなしい少女なのです。
そんな千愛ちゃんが学校一の凝り男、ツボの君・森泉陽介をマッサージするために接近していくのがこの物語。
千愛ちゃんのマッサージ狂っぷりに「なんじゃこりゃー」と思わされながらも、しっかり少女マンガのツボを抑えた展開で、きっちりロマンスに導いてくれる、なかなか楽しい作品です。
じわじわと癒されるように、ロマンスの成分が胸に浸透していくこの感じがgood。内気な千愛ちゃんの照れ笑顔に和みつつ、ちょっとマッサージの知識を胸にきざみながら、甘酸っぱい初恋の雰囲気を堪能出来る、一粒で二度おいしいラブコメディです。
少女マンガをメインにコミック紹介をしてる以上、仕方のないことかもしれませんが・・・またもイッちゃってる系ヒロインの紹介なのです。
マッサージに魂を売った黒髪少女、東宮千愛ちゃんが本作のヒロイン。一目惚れしたのは、バスの中で見かけた森泉陽介のコリにコリまくった背中、ってーんだからただものじゃありません。マッサージ研究会に属し、幻の書物「マッサージ秘伝」に心ときめかせているんだから、とてもマトモとは思えません。
しかし、そのへんが一途な女のコ〜に見えてくるところが少女マンガのマジック。
マッサージに夢中で、恋愛に不器用だけど、一途に陽介を思う気持ちが伝わって来て、ハートの右下にある萌枢のツボをぐりぐりぐりぃぃぃ〜っと刺激されて、ほんわかロマンスな気持ちになっちゃって、心がほぐされてしまうんですよねー。
笑顔のぎこちなさが逆にときめき中枢を刺激する感じで、これこそまさに恋する少女のスーパーパワー。
PCばっかりやってるわりには肩凝りに縁がなく、腰痛ともここ6年くらい縁のない私ですが(最近過敏性腸症候群と仲よしだけどな)千愛ちゃんには肩のコリをほぐしてほしい、腰の痛みをマッサージしてほしい、心の渇きをいやして欲しい、っつーかココロとカラダを隅から隅までぐりぐりして〜〜ん。ってな気持ちになっちゃうのです。
ロマンスの力を分けてくれて、ココロを芯から温めてくれるようなヒロインですね。
「千愛のにーちゃん」「ヘンな先輩」とゆー覚え方をしていて、名前をさっぱり覚えてなかったりします、千愛ちゃんの実兄が東宮武。その活躍・・・というか変人っぷりは収録されている短編「教えてプリンス」で堪能することが出来ます。
バラをくわえて舞い踊り、鏡で自らの美顔を見て悶絶し、破滅的にクサいセリフを口走り、三国志語を操って、自らの二枚目フェイスをしっかり星霜の彼方へと捨て去った三枚目ヒーロー。
少女マンガのヒーローがこれでいーのか、かなり不安になりますが、とにかくインパクトは十分です。
その「教えてプリンス」のヒロインがツインテール元気少女・相沢優奈ちゃん。「親ロマ」では千愛ちゃんの友達として出て来ます。千愛ちゃんほどイっちゃってないので、優奈ちゃんの方がなじみやすいような気がしますね。ショートカットのお姉様、夏江先輩ともども今後の活躍に期待です。
マッサージの豆知識が盛り込まれていて、そういう部分は少年マンガ的ですが、ストーリーはやっぱりバリバリの少女系ラブコメ。白泉社系ではありがちとはいえ、ちょっと独特のテイストがありますね。
新人さんの作品ということで、正直ぎこちないところも散見され、ある程度割り切って、ノリを楽しむ必要がありますね。
2004.2